美容師の勤務時間は労働基準法で決まっている!休憩時間や残業時間についても解説

美容師=激務のイメージを持っている人が多い理由のひとつが、勤務時間の長さ。
美容師として働く方々にとっては非常に重要な問題ですよね。

「美容師の労働時間や休憩時間は法律で決まっているの?」
「営業時間外の練習って勤務時間に含まれるの?」
など、勤務時間に関する不安や悩みを抱えている美容師さんは少なくありません。
働き方改革によって多くの企業では労働環境の是正が行われていますが、美容師業界の状況はどうなっているのでしょうか。

本記事では、美容師の勤務時間・休憩時間・残業時間のルール、実際の労働環境、美容室や働き方選びのポイントなどを解説します。

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美容師の勤務時間はどのくらい?

美容師の勤務時間(労働時間)は原則【1日8時間以内、1週間あたり40時間以内】と労働基準法で定められています。
パート・アルバイトを含む従業員が10人未満の場合は週44時間までです。
この勤務時間には休憩時間は含まれません。

勤務時間=美容室の営業時間ではなく、雇用主より指示された労働が発生する場合は営業時間前や営業時間後も勤務時間に含まれます。

 

美容師の残業時間

上記の勤務時間を超えた労働が発生する場合、雇用主は労働基準監督署へ『36協定』の届出を行わなければなりません。
労働時間を超えたぶんは残業扱いとなり、残業代(割増賃金)が支払われます。
ただし、残業代があらかじめ固定給に含まれる“みなし残業制”を取り入れている美容室も。
この場合は募集要項の給与欄に「固定残業◯時間分を含む」などの記載があるので、しっかり確認しておきましょう。

原則、残業(時間外労働)は月45時間、年360時間が上限です。
特別な事情により上限を超えて残業しなければならない場合、雇用主が『特別条項付き36協定』を結ぶことで、1年の半分(6ヶ月)は残業時間を延長できます。

 

店長など管理職の残業代について

労働基準法では『管理監督者』への残業代の支払いは不要であると定められています。
しかし、必ずしも店長などの管理職=管理監督者というわけではありません。
管理監督者に該当しない管理職に対しては残業代が発生します。

▼管理監督者の条件

  • 規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
  • 規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
  • 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
  • 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

【参考】厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署

 

美容師の休憩時間

1日の勤務時間が6時間を超える場合、6〜8時間勤務で45分以上、8時間を超える勤務で1時間以上の休憩時間を確保しなければならないことが労働基準法で定められています。

一般的なサラリーマンはお昼の1時間が休憩時間に充てられるケースが多いです。
しかし、美容師は予約状況や混み具合によって休憩時間が左右されます。
まとまった休憩をとることが難しいため、15分×4回や30分×2回のように時間を分けて休憩することもあるでしょう。

また、日によって休憩時間が短くなったり、休憩中でも電話や来客の応対をしたりすることも。
労働基準法で決まっている休憩時間がきちんと取れていない場合は、雇用主に相談するようにしてください。

 

美容師の労働環境の実態

美容に携わる職業の代表とも言える美容師は、華やかな印象があり、憧れる人の多い人気の職業です。
一方で、実際の労働環境はハードであるケースも少なくありません。
先述したような労働基準法に対して、グレーな働き方が常態化している美容室もあるでしょう。

続いては「ブラックな職場」というイメージがある美容室の労働環境の傾向についてお伝えします。
もちろん、下記に当てはまらないホワイトな美容室もたくさん存在します。

 

休憩時間が不規則

美容師は休憩時間が安定しにくく、パーマやカラーの置き時間など手が空いたタイミングで5〜10分ほどの休憩をとることも。
ひとりで複数のお客様に同時対応したり、急な予約で施術に入らざるを得なかったりするからです。
お客様の多い土日祝日や繁忙期だとなおさら休憩がとりにくくなります。

特に、お客様からの指名が多いスタイリストだと、開店から閉店まで立て続けにサービスを提供しなければならないでしょう。
お昼ごはんをゆっくり食べる暇がなく、カロリーメイトやおにぎりなど簡易的な食事で済ませる美容師さんもいるそうです。

 

残業が発生する場合がある

営業時間前の開店準備や予約確認、営業時間後の後片付けやミーティングも勤務時間に含まれます。
そのため、美容室の営業時間自体が8時間を超える場合、営業時間前後の勤務時間は残業扱いとなります。

また、美容師にはカット・カラーといったお客様へのサービス提供以外にも、清掃やPOPの作成、SNSやブログの更新、日報の作成などの業務があります。
日中はお客様対応で手いっぱいであることも多く、これらの業務は営業時間外に行わなければなりません。

労働基準法の考えでは、美容室の営業時間のみを勤務時間として申告することは不適切です。
正しい労働管理が行われていない場合は、雇用主や労働基準監督署へ相談してください。

 

早朝や営業終了後に練習が必要

美容師はスキルアップのために日々のスタイリング練習が必要不可欠です。
お客様へ提供するサービスの向上はもちろん、コンテストや資格取得に向けての特訓を目的として練習することもあります。

技術がまだ未熟なアシスタントは特に練習時間が長くなる傾向にありますが、スタイリストになった後は講師として後輩を指導するケースも。
お客様が店内にいる営業時間中は練習できないので、営業時間前後や休日に時間を作らなければなりません。

練習が雇用主に指示されたものである場合は、練習時間=勤務時間に換算されます。
自己啓発の一環として自発的に練習する場合は労働時間に含まれません。

最近は美容師業界でも徐々に働き方改革が進み、営業終了前後の自発的な練習をさせない美容室が増えつつあります。
営業時間内の空いた時間を利用して練習させたり、通常の勤務を勉強会への参加に充てたりする美容室もあるようです。

 

労働環境の良い美容室で働く方法

美容師の離職率が高い理由には、上記で紹介したような過酷な労働環境も挙げられます。
せっかく国家資格である美容師免許を苦労して取得したのに、辞めてしまうのはもったいないですよね。

美容師として長く働くために、より良い労働環境の美容室や自分に合った働き方を選びましょう。

 

募集要項をチェックする

就職活動中は求人誌や美容専門学校に届く求人情報、キレイビズのような求人サイトで応募先の美容室を探しますよね。

募集要項には次のような労働条件が記載されています。

  • 給与
  • 各種手当
  • 勤務時間
  • 休日
  • 残業時間
  • 休憩時間

勤務時間など基本の労働条件はもちろん、社会保険や福利厚生、産休・育休などの休暇制度も要チェック。
いくつかの美容室を比較し、より条件のいい美容室を選ぶといいでしょう。

また、募集要項に書かれている内容と実際の労働環境にギャップがないかどうかも確かめなければなりません。
就職活動の口コミサイトを参考にしたり、働いている先輩に話を聞いたりしておくと安心です。

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一般的な美容室以外で働く

ニーズの多様化によって美容師の働き方は年々変化しています。
美容師免許を持っているからといって必ずしも美容室で働く必要はありません。

美容師以外の次のような働き方も選択肢として挙げられます。

  • カラーリストとしてヘアカラー専門サロンで働く
  • まつ毛エクステやまつげパーマを行うアイリストとしてアイラッシュサロンで働く
  • 眉毛のデザイン・整形を行うアイブロウリストとしてアイブロウ専門店で働く
  • 頭皮のケアやマッサージを行うスパニストとしてヘッドスパ専門店で働く
  • ヘアメイクアップアーティストとして結婚式場や派遣会社に所属する
  • 福祉美容師・介護美容師としてお客様の自宅や施設に訪問する

特に、パーツ美容を専門としているサロンは労働環境が安定している傾向にあります。

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正社員以外のスタッフとして働く

正社員としてフルタイムで働く以外にも、フリーランス美容師やパート・アルバイトスタッフとして働く方法もあります。

フリーランス美容師の場合、美容室と業務委託契約を結びます。
完全歩合給か、正社員よりも高い還元率の歩合給+固定給となるケースが多いです。
保険・税金の手続きや請求書作成など自分でやることは増えますが、勤務時間や休日を自由に決められます。
技術を磨いて指名のお客様を付けられたら、正社員の美容師として働くよりも稼げるでしょう。
マイペースに働ける一方で、収入が安定しないというデメリットも。
メリット・デメリットを比較したうえで選択することをおすすめします。

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パート雇用の場合、週あたりの勤務日数や1日あたりの労働時間を減らし、シフト制での働き方が可能です。
家事・育児や介護などのプライベートと両立して働きたい美容師さんに適した働き方だと言えるでしょう。

 

まとめ

美容師の勤務時間は、他の業種と同じく労働基準法で上限が定められています。
しかし、長時間労働を強いられるブラック企業が存在するのも事実です。
「今働いている美容室がツライ」「正社員として働くのが合っていない」とお考えの美容師さんは、転職や働き方の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

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