美容師は産休・育休を取れる?休業中にもらえるお金や取得方法、準備などを解説

美容師として働いているなかで気になるのが、結婚や出産後のライフスタイルや働き方の変化。
「せっかくスタイリストになっても、子どもができたら退職しないといけないの?」
「育児をしながら自分に合った働き方ができるかな?」
など、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そんな働くママ美容師さん・パパ美容師さんが利用できるのが、産休制度・育休制度です。
本記事では産休・育休の内容や給付金、休業の申請方法や準備することなどを解説します。

 

美容師の産休・育休

産休と育休は国が設けている制度で、美容師も当然取得できます。
法律で定められた一定期間お休みを取ることができ、休業中は出産・育児に関わるお金を補助してもらえたり、社会保険料を免除されたりといったサポートを受けられます。

ただし、雇用契約ではなく業務委託契約を結んで働いている美容師(フリーランスや面貸しなど)や事業主は対象外です。

 

産休制度とは?

産休制度とは、妊娠した場合に取得できる産前休業と産後休業のこと。

  • 産前休業:出産予定日の6週間前から取得可能(双子の場合は14週間前)
  • 産後休業:出産日の翌日から8週間
    (医師の診断を受け、認められた場合は産後6週間を過ぎてから職場復帰することも可能)

産前休業の取得は任意ですが、産後休業は義務です。
最大で14週間(双子の場合は22週間)取得できます。
産前休業を利用する場合は勤務先へ早めに確認・相談し、申請しなければなりません。

産休は正社員や派遣社員、パートやアルバイトなどの雇用形態や勤続年数に関わらず、働くすべての女性に取得する権利が認められています。

また、休業したことによって企業側(サロン側)が不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。

 

美容師が産休中にもらえるお金

休業できる制度があっても、気になるのは「休業中に給与はもらえるのか?」という金銭面の問題ですよね。
結論、産休・育休中に会社が給与を支払う義務はありません。

その代わりに、出産やその期間の生活をサポートする①出産手当金②出産育児一時金がもらえます。

 

出産手当金

次の条件に当てはまる場合は出産手当金をもらえます。

  • 同じ会社に1年以上雇用されている
  • 産休中は給与が支払われていない、または出産手当金より少ない(差額がもらえる)
  • 健康保険に連続して1年以上加入している(整容国保や国民健康保険は×)
  • 扶養されていない
  • 退職している場合:退職日が出産手当金の支給期間内に入っており、退職日に出勤していない

出産手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬月額※の平均額÷30×3分の2。
支給対象となる期間は、出産予定日以前の42日間(双子の場合は98日)+出産翌日から56日間です。
予定日よりも出産が遅れた場合は、遅れた日数も対象になります。

※標準報酬月額とは
 支給開始日以前12ヶ月間のうち、4月・5月・6月の3ヶ月間に支払われた給与の平均額を、毎年7月に標準報酬月額表の等級区分にあてはめて決定するもの

出産手当金は産休終了後の翌日以降から申請でき、申請後1ヶ月ほどで支給されます。
受け取れるまで時間がかかるため、スムーズに手続きできるように産前に書類などを準備しておきましょう。

 

出産育児一時金

健康保険や国民健康保険に加入している場合、出産育児一時金がもらえます。
金額は赤ちゃん1人につき42万円です。

健康保険に加入している場合は健康保険組合から、個人で国民健康保険に加入している場合は各自治体から支給されます。
出産後に請求してから支払われるまで3ヶ月〜4ヶ月ほどかかります。

 

育休制度とは?

育休制度とは、産後休業終了日の翌日から子どもが1歳の誕生日を迎える前日までの間で、希望する期間取得できる育児休業のこと。
勤務先に申請を行うことで取得可能です。

「保育所が見つからない」「子どもを育てる予定だった人が病気やケガ、妊娠などの理由により子育てが難しくなった」など、止むを得ない事情が発生した場合は子どもが2歳になるまで延長できます。

産休と違い、男性でも取得できますが、次のような条件が設けられています。

  • 同じ会社に1年以上雇用されている
  • 子どもが1歳になったあとも引き続き働く予定がある(1年以内に雇用関係が終了しない)
    ※2歳まで延長する場合は2歳の誕生日の前日まで雇用契約が終了しない
  • 週の所定労働日数が2日以下ではない
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかでない

 

美容師が育休中にもらえるお金

雇用保険に加入しており、かつ育休を取得する場合、申請すれば育児休業給付金がもらえます。
対象となるのは育休の期間中で、2ヶ月に1回まとめて支給されます。

育児休業給付金の金額は、次のとおりです。

  • 育休開始日から6ヶ月間:賃金日額※×支給日数×67%
  • 6ヶ月以降:賃金日額×支給日数×50%

※賃金日額とは
育休開始直前の6ヶ月間の給与÷180日

 

産休・育休中に免除されるお金

産休・育休の期間中は厚生年金と健康保険料の支払いが免除されます。
免除の手続きは会社が行うため、申請を行う必要はありません。
なお、支払いのない期間も社会保険に加入している保障は継続されます。

また、産休および育休制度に関連する給付金は非課税となっており、所得税はかかりません。

 

美容師が育休・産休を取得する方法

産休・育休の取得は労働基準法で定められている労働者の権利です。
もちろん美容師も例外ではありません。

 

産休を取得する方法

まずは妊娠した旨を勤務先サロンのオーナーや上司に報告し、出産予定日を伝えます。
「出産後も働きたい」という意思を伝え、妊娠中の働き方や休業予定を相談しましょう。

続いて会社の規定に従って産休の手続きを行います。
会社で申請用紙が用意されていない場合は「産休 テンプレート」などと検索し、無料のテンプレートを活用します。
このとき、同時に育休の申請も行うと◎
自分でやらなくてはならないこと、会社側がやることをそれぞれ確認しておきましょう。

 

育休を取得する方法

育休を取得する場合は休業開始予定日の1ヶ月前までに申し出る必要があります。
書面にて休業開始予定日と終了予定日を明確に定めましょう。

休業期間を1歳→2歳までと延長する場合は、その2週間前までに申し出が必要です。

 

美容師が産休・育休を取得する前にすべきこと

サロンのスタッフやお客様に迷惑をかけないように、安心して産休・育休に入る前の事前準備が大切です。

指名してくださっているお客様への挨拶と、休んでいる間にお客様をお願いするスタッフへの引き継ぎを忘れないようにしましょう。
きちんと準備しておけば、休業後の職場復帰もスムーズですよ。

 

担当しているお客様への挨拶

美容師はお客様がいて成り立つ職業。
長い休業期間中にお客様を失わないように、また失礼にならないように心配りが必要です。

お客様のサロンへの来店サイクルは通常1ヶ月〜3ヶ月。
そのため、休業開始の3ヶ月前〜遅くとも1ヶ月半前までに休業する旨を伝えましょう。

直接伝えるのが難しい場合はメールや電話などで伝えます。
休業前の挨拶で押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 産休・育休に入る日付
  • 復帰予定時期
  • ご迷惑をおかけすることへのお詫び
  • 休業中の対応(代わりに担当するスタッフのご案内)

 

スタッフへの引き継ぎ

お客様の施術履歴や髪の状態はカルテに記載しているサロンが多いですよね。
合わせて、お客様の好きなものや趣味、家族構成など日頃の接客で得た情報も引き継げると◎

引き継ぐスタッフを選ぶ際は、関わりのあったスタッフや自分と技術レベルの近いスタッフを選びたいところ。
決定する前にお客様に打診し、ご希望も聞いたうえで選ぶようにしましょう。
お客様の意向を尊重することで、他のサロンへ流れてしまうのを防ぐことができます。

 

産休・育休を取りやすい美容室選びのポイント

産休制度や育休制度が整っている美容室であることは前提として、フルタイムではなく時短勤務やパート勤務を選択できる職場であれば、復帰後の状況に合わせて柔軟に働けます。

また、子どものいる美容師が多いサロンなら悩みを理解してもらえたり、気軽に相談できたり、支え合いながら働けるでしょう。

産休・育休をきちんと取得できる環境が整っていない場合は、転職を検討するのも手です。

 

まとめ

「出産や育児の予定があるから美容師を辞めないといけない」なんてことは決してありません。
産休や育休といったサポート制度や関連する給付金制度をうまく活用し、サロンやスタッフの協力を仰ぎながら重要なライフイベントを迎えましょう。
プライベートも大事にしながら、ママ美容師・パパ美容師として新たなキャリアステージに進んでいけるといいですね♪

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