美容師に将来性がないって本当?今後の美容業界の動きや働き方まとめ

美容師として働くなら国家資格が必須となっており、誰でも就ける職種ではありません。
美容室(働く場所)は全国にあり、美容師免許があればどこに行っても働ける需要の高い仕事です。
また、美容は人々の生活を支えるサービスであるため、美容師の職がなくなることはないと考えられています。

しかし、人口の減少やAIの台頭などの社会の変化に伴って、「将来性はあるのかな?」と不安に感じている美容師の方もいらっしゃるでしょう。
コロナ流行によって経済が停滞したように、今後再びマーケットが縮小するような出来事も起こりうるかもしれません。

本記事では美容業界の変化や美容師の将来性、これからの時代の働き方などについて解説します。

 

美容師をとりまく現状と未来予測

美容師という職業は、社会情勢の変化や「他業種よりも平均収入が少ない」「労働環境や体力面が厳しい」などの理由により「将来性がない」と言われることもあります。

しかし、国家資格を取得すれば場所や年齢を問わずに働ける職種であるため、時代の変遷やお客様のニーズに合わせてワークスタイルを柔軟に選べれば、美容師として活躍し続けることができるでしょう。

まずは美容師・美容業界の状況や将来性について知っておくことが大切です。

 

1.市場規模や消費の微増

美容業界全体の市場規模は2023年時点で2兆5,160億円。
そのうち美容室の売上規模は1兆3,558億円で、全体の半分以上を占めるとされています。
コロナの影響などにより2020年〜2021年はマーケットが縮小していたものの、2022年頃からは徐々に上昇しています。

また、美容室にかける1世帯あたりの金額は年間19,977円(2022年時点)となっており、こちらも増加傾向にあります。

参照:数字で見る美容業界|ホットペッパービューティーアカデミー
参照:家計調査|e-Stat

 

2.美容室の増加

美容室の数は2021年時点で26.4万軒超。
前年比+約6,300軒となっており、市場規模の拡大にともなって年々増加しています。
なお、理容業界の売上は年々減少しており、理容所の数も減っています。

全国に5万店舗以上あるコンビニの数を大きく上回っており、美容室同士の競争はますます激化することが予想されます。
お客様の多様なニーズに対応するトータルビューティーサロンや、他のサロンにはないメニューを打ち出す特化型サロンなどが台頭するでしょう。

参照:数字で見る美容業界|ホットペッパービューティーアカデミー

 

3.美容師の増加

美容師の人数は2021年時点で56.1万人超で、1年に+1万人ほどのペースで年々増加しています。
合わせて、美容専門学校の生徒数も増加傾向に。

美容室の数が増えている=働く場所が増えていると同時に、美容師(求職者)の数も増えているので競争率は高まっています。
就職や集客を有利に進めるためには、技術力や接客スキルを高めていく必要があるでしょう。

なお、理美容業界における平均勤続年数は7.6年(2022年時点)と、全体の平均勤続年数12.3年よりも短くなっています。
離職率が高く人材不足に悩む美容室が多いため、労働環境の改善や給与・報酬の増加など、美容師にとっては働きやすい環境になっていくことが予想されます。

参照:数字で見る美容業界|ホットペッパービューティーアカデミー
参照:令和4年賃金構造基本統計調査の概況|厚生労働省

 

4.価格の二極化

先述のとおり美容室の数が増えて競争が激化していることから、今後は美容室の価格帯の二極化が進むと考えられています。
ファッション業界でファストファッションとラグジュアリーブランドの二極化が起きているのと同じイメージです。

・低価格サロン:シンプルなメニュー、短時間の施術、回転率が高い、来店周期が短い
・高価格サロン:充実したメニュー、高い技術と豊富な知識、丁寧な接客

1,000円カットのような低価格サロンか、ヘッドスパやマッサージまでトータルで受けられる高価格サロンか。
美容師としてどちらのお店で働くスタイルが合っているのか考えて選ぶ必要があります。

 

5.少子高齢化

厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性で81.05歳、女性で87.09歳。
65歳以上の高齢者が占める割合は年々増加しており、2023年には約29%となりました。
合わせて出生数も減少しているため、今後ますます少子高齢化が加速すると考えられています。

参照:令和4年簡易生命表の概況|厚生労働省
参照:統計からみた我が国の高齢者|総務省統計局

美容業界においても中年〜高齢者向けサービスの需要が高まっています。
美容室に通うことが困難なお客様の自宅や病院へ出向いて施術を行う福祉美容師・介護美容師・訪問美容師として働く人が増加中です。
また、白髪染めや髪のハリ・薄毛の改善などアンチエイジングメニューへの対応も求められています。

関連記事:介護美容師に必要な資格とは?おすすめの資格7選&費用・受験条件・取得方法まとめ

 

6.AIの導入やロボット化

さまざまな業界でIT化やAI(人工知能)の普及が進んでおり、美容業界も例外ではありません。
便利になる反面、美容師の職が失われる可能性が懸念されているものの、他のサービス業と比較して機械化や完全自動化が難しい分野だと言われています。
お客様ひとりひとりに合わせた繊細なスタイリング技術や、細やかなコミュニケーションが求められる技術職・接客業であるため、必要とされ続けるでしょう。

工場の作業ロボットや小売店の自動レジのように、仕事の一部をロボットやAIに任せる未来が来るかもしれません。
例えばカットした髪の毛をお掃除ロボットに回収させる、カラー材を作っている間に自動シャンプーを行う、お客様の要望をもとに仕上がりイメージ画像をAI生成する…など。

IT化で効率化が進むぶん、美容師はより高度で繊細な技術やトレンドをつかむ美的センス、お客様の心を掴む接客スキルなどを磨く必要があります。

 

美容師として長く活躍するためのポイント

市場規模・消費金額や働く場所が増加しており、需要がなくなることのない分野であるため、美容師の仕事に将来性は「ある」と言えるでしょう。

とはいえ、お客様のニーズや時代、社会情勢は日々変化していきます。
変化・トレンドに対応できる柔軟性や、努力し続ける姿勢が求められているのも事実です。
キャリアプランを立ててスキルを磨き、長く活躍できる美容師を目指しましょう。

 

働き方やキャリアプランを柔軟に選ぶ

美容師としての働き方には主に2パターンあります。

1.雇用されて働く(正社員、契約社員、アルバイト・パートなど)
2.独立して働く(​​フリーランス美容師、サロン開業・経営など)

早い段階で自身のライフプラン、キャリアプランを考えておくと安心。
ライフステージや年齢、体力などによって最適な働き方は変わるため、若いうちから選択肢を広げておくことが大切です。

 

雇用されて働く

美容室などに雇用されて働く場合は、アシスタント→スタイリスト→トップスタイリスト→店長……と昇格していくケースが多いです。
歩合制を導入している企業もありますが、基本的には毎月決まった金額の収入を受け取れるので、安定した働き方だといえます。

福利厚生が充実している、時短勤務ができる、雇用契約を切り替えられるなど、安心して長く働ける企業を選びましょう。

 

独立して働く

自分のサロンを開業・経営する道と、特定の美容室に属さずフリーランス美容師(個人事業主)として働く道があります。
近年は、プライベートと両立しやすく低リスクな後者を選ぶ人が増えています。

雇用契約ではなく業務委託契約を結んだ場合は労働法が適用されず、社会保険への加入や経理業務、集客などもすべて自分で行わなくてはなりません。
指名客が多ければ高収入を期待できますが、収入が安定しない可能性も。
そのかわり、指名客のみを対象に施術したり、派遣社員のような働き方をしたりと契約内容次第で働き方の自由度が上がります。
空いた時間は新規顧客の開拓・営業活動やスキルアップなど自由に使うことも可能です。

特定の美容室と業務委託契約を結ぶほか、
・予約が入ったときだけシェアサロンを借りて施術する
・美容室の一部を借りて営業する(面貸し)
・お客様の自宅や介護施設に訪問してサービスを行う
など、さまざまな働き方ができます。

関連記事:業務委託サロンとは?稼げない?美容師のメリット・デメリットや注意点を解説

 

美容師+αを身につける

美容師以外の肩書きをプラスすることで、リスクヘッジや差別化につながります。

例えば美容関連だと、美容師免許がないとできないまつ毛エクステやまつげパーマを行う「アイリスト」や、トータルビューティーを提供できる「ネイリスト」「エステティシャン」「メイクアップアーティスト」「着付け師」など。
今後需要の高まる「ヘルパー」、集客にも役立つ「インフルエンサー」「YouTuber」「カメラマン」なども考えられるでしょう。

美容師としてではなく本部スタッフとして経営に携わる、あるいは人事担当や販促担当としてバックオフィス業務に挑戦する手もあります。
美容ディーラーや美容師以外の接客業など、美容師としての経験を別の分野で活かす方法も模索してみてください。

関連記事:美容師免許を活かした働き方とは?活躍の幅が広がる職業や業務形態も紹介

 

グローバルに働く

少子高齢化が進む日本では、先述のような高齢者向けサービスへの対応が求められています。
若年層の人口が減少していくことから、海外に進出する、あるいは外国人客をターゲットにする美容師も少なくありません。

美容師のスキルは世界で共通するものです。
また、日本のきめ細やかな美容技術や質の高いサービスは海外でも定評があります。

グローバルで活躍したい場合は、語学力や異なる髪質に対応できる技術力を身につけましょう。

関連記事:【保存版】美容師に必要な英語フレーズまとめ!外国人向け接客英会話をシーン別に紹介

 

セルフプロデュース・発信する

これからの時代は自分をプロデュースして、他の美容師と差別化する能力が欠かせません。
美容師としての強みや個性を分析し、SNSを活用してアピールしていきましょう。

自分が作り上げたスタイリングのスナップ写真を投稿する、ヘアセットやヘアケアの方法をプロ目線で教えるなど、スマホひとつでさまざまな発信が可能です。
SNSでファンを獲得できれば集客や指名率の向上、売上アップにも役立ちます。

関連記事:美容師のブログの定番ネタ4選!メリットや書き方のコツも解説
関連記事:美容師のインスタ集客のポイント6選!運用の目的や投稿ネタも紹介

 

勉強・スキルアップし続ける

どのような働き方を選ぶとしてもスキルアップはマスト。
特に美容業界は技術進歩やトレンドの移り変わりが早いので、現状維持=衰退という方程式が成り立ってしまいます。

・関連する資格を取得する
・セミナーや勉強会に参加する
・営業前後の時間で練習や撮影をする
・コンテストに挑戦する
・メディアやSNSでトレンドをチェックする など

日々の業務をこなすだけでなく、勉強を怠らなければ、働き方の幅が広がり長く働ける人材になれるでしょう。

関連記事:美容師がスキルアップする方法とは?役立つ資格や磨くべきスキルも解説

 

まとめ

美容室や美容師の数は年々増えており、お客様のニーズはますます多様化しています。
一般企業に比べて離職率が高い、平均年収が低いなどの懸念点はあるものの、フリーランス・訪問美容師・グローバルでの活躍などさまざまなキャリアを模索できる職業です。

実力や経験があれば安定した仕事を得られ、将来性も高いと言えるでしょう。
時代の変化を捉えながら自分らしい働き方を見つけ、美容師としてのキャリアを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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