「お客様から指名をもらった場合、指名料ってどのくらいもらえるの?」
「そもそも、指名料ってどうやって決まるの?」
美容師として経験を積んでいくと、避けて通れないのが“指名料”の話。
同じスタイリストでも、指名の有無で売上や評価が大きく変わります。
本記事では、現役美容師や美容学生に向けて、指名料の仕組みや相場、収入アップにつながる考え方までを徹底解説します。
お客様からの指名を増やして収入アップに繋げたい方はぜひ最後までご覧ください。
美容室における「指名料」とは?
指名料とは、お客様が「この美容師さんに施術してもらいたい」と担当美容師を指名したときに発生する追加料金(オプション料金)のことです。
サロンによっては「スタイリスト指名料」「担当料」「技術料」などと呼ばれることもあります。
たとえばカット料金が5,000円のサロンで指名料500円の場合、
お客様の支払いは「5,500円」となり、指名料分の全額あるいは一部が担当美容師に還元されます。
美容師にとっての指名料の意味
指名料は単なる「追加料金」ではなく、“美容師としてのブランド価値”を数値化した指標といえます。
・人気と信頼の証
新規のお客様がSNSなどを見て「この人にお願いしたい!」、あるいは既存のお客様が「またあなたにお願いしたい」と思ってくれた結果の現れです。
・実績評価の一部
サロンによっては、指名数や指名料の売上が給与査定や昇格の基準になる場合があります。
・モチベーションアップ
美容師としての実力やお客様からの評価が、数字として直接的に収入に反映されるため、仕事のやりがいが増します。
指名料の支払い方法とお客様への伝え方
お客様が指名料を支払う流れは、サロンの受付システムによって異なります。
【支払いの流れ】
- 予約時に「スタッフは◯◯さんを指名します」と伝える
- 会計時に自動で指名料が加算される
- レシートや明細に「指名料:500円」などが表示される
最近は、ホットペッパービューティーやLINE予約などのオンラインシステムで「担当者指名あり/なし」を選べるようになっており、明朗会計になっています。
指名料の説明は、伝え方を間違えると「お金を取るのか」という印象を与えてしまうことも。
以下のように、“付加価値”として伝えるのがポイントです。
・「前回と同じスタイリストをご希望の場合は、指名料が◯円かかります」
・「仕上がりのイメージを共有しやすくするために、継続して担当できる形を取っています」
・「担当者の指名は、技術保証の一環とお考えください」
こうした言い回しをすることで、お客様に安心感と納得感を与えることができます。
指名料の相場はいくら?地域・業態別の目安
指名料の平均相場は300円〜1,500円前後です。
サロンや働き方によって下記の3パターンに分けられます。
・固定制:誰を指名しても同じ金額(例:一律500円)
・ランク制:スタイリストの経験や人気に応じて金額を変える(例:ジュニアスタイリスト300円/トップスタイリスト1,000円)
・自由設定制:美容師本人が自分の指名料を設定できる(主に独立・フリーランス)
また、地域やサロンの価格帯、スタイリストのランクによって幅があります。
| 地域・業態 | 指名料の相場 | 備考 |
| 都心の高級サロン | 1,000〜3,000円 | トップスタイリストは5,000円以上のケースもある |
| 一般的な郊外サロン | 500〜1,000円 | 固定またはランク制が多い |
| 格安カット・カラー専門店 | 0〜500円 | 指名制なしの場合も多い |
| フリーランス美容師 | 自由設定(500〜3,000円) | SNSの集客が得意なら高単価化できる |
このように、地方では「指名料無料」のサロンもまだ多いですが、都市部では人気美容師のブランド化が進み、指名料が高めに設定される傾向があります。
美容師への指名料還元の仕組み
指名料の収入は、必ずしも全額が美容師本人に入るわけではありません。
サロンによって、たとえば以下のように分配されます。
| パターン | 美容師の取り分 | サロン側の取り分 |
| 固定給+インセンティブ制 | 指名料の50〜80% | 20〜50% |
| 完全歩合制(業務委託) | 指名料の60〜100% | 0〜40%(美容師が独立扱い) |
特に近年増えている「業務委託サロン」では、指名料が全額自分の収入になるケースも多く、人気美容師ほど大きな収入差が生まれやすくなっています。
指名料がもらえると収入はどれくらい変わる?
美容師に入る指名料は1件あたりでは数百円ですが、積み重ねると大きな差になります。
たとえば指名料500円で還元率が50%、月に200人のお客様を担当した場合、
500円×0.5×200人=月5万円、年間60万円の上乗せ収入が発生します。
指名料が1,000円なら年間120万円です。
さらに歩合制の場合は、指名料以外の売上歩合と合わせて、年収が100万〜300万円以上アップするケースも珍しくありません。
【関連記事】美容師の給料を調査!アシスタント・スタイリスト・オーナーなど役職別の年収や収入アップの方法も解説
美容師が指名を増やすための5つのコツ
「もっと指名料を上げたい」
「指名してくれるお客様を増やしたい」
「自分の技術を正当に評価してほしい」
そう思っている美容師の方に向けて、今日から実践できる5つのポイントを紹介します。
1.技術&サービスの精度を上げる
指名料を支払ってまで来店してもらうには、「失敗されない安心感」が不可欠です。
特にカットやカラーでは、
・仕上がりの再現性
・スタイルの持ちの良さ
・丁寧な仕上げ・ブロー
といった基本技術の完成度が信頼に直結します。
このように技術面で“安心して任せられる”存在になることに加えて、「他の美容師にはないベネフィット」も必要です。
「ベネフィット」とは、商品・サービスを利用することでお客様が得られる価値や利益のこと。
「来店時に髪が美しくなる」といった直接的なメリットだけでなく、たとえば
・声をかけられる前にブランケットを持ってくる、ドリンクの氷の量を調整するなど、先回りした気遣いをする。
・待ち時間やシャンプー中に、簡単なマッサージなど疲れを癒すプラスアルファのサービスを提供する。
・「この服にはこのヘアアレンジが素敵です」「この色は◯◯さんのメイクにとても合っています」など、お客様の当日の服装や雰囲気に合わせて調整する。
など、プラスアルファの価値を提供できれば、「この人じゃないとダメ」と言われる指名が自然と増えます。
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2.カウンセリング力・提案力を磨く
美容師にとって、技術と同じくらい大切なのがヒアリング力。
お客様が求めているのは「思い通りの仕上がりにしてくれる美容師」ではなく、「自分でも気づかなかった魅力を引き出してくれる美容師」です。
たとえば、
・「この服装に合わせたトーンにしましょう」
・「顔の形に合うように前髪の幅を少し調整しますね」
といった髪の毛以外のトータルビューティーに気を配っていることがわかる一言を添えるだけで、信頼度は一気に上がります。
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3.SNSを活用して“指名される美容師”になる
近年は、SNSが最も強力な集客ツールです。
たとえばInstagramやTikTokで、施術のBefore→Afterやプロ目線のヘアケア法などを発信することで、「この人にやってもらいたい」と指名してもらえる確率が高まります。
特に、
・お客様のリアルな写真を定期的に投稿する
・仕上がりだけでなくプロセスを見せる
・ストーリーズで空き情報を発信する
といった方法で、指名客が増える傾向があります。
SNSを通じてブランディングできれば、指名料を上げても納得して支払ってもらえる状態になります。
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4.顧客との信頼関係を深める
一度来てくれたお客様に「次も指名したい」と思ってもらうためには、技術以外にも“人としての安心感”が必要です。
たとえば、
・お客様の名前や好みを覚えておく
・ライフイベント(結婚・転職など)に合わせた提案をする
・LINEやDMでケア方法を共有するなど丁寧なアフターフォロー
このような積み重ねがリピーターを生みます。
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5.サロン内での実績と信頼を積む
個人の努力だけでなく、サロン内での評価も重要です。
「店長推薦で指名料が上がった」「売上目標を達成して昇格した」など、組織的な評価制度に乗ることで自然とステップアップできます。
指名数・売上・リピート率などを可視化して、「自分の数字」を理解したり目標を立てたりするのも、指名料アップの第一歩です。
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美容室の指名料にまつわるトラブル例
指名料は“お金”に関わる部分なので、運用を誤るとトラブルの原因にもなります。
注意すべきポイントを紹介します。
注意点1.同じサロン内で指名料がバラバラ
同じ店舗内でスタイリストごとに指名料がバラバラだと、「なんでこの人だけ高いの?」という不満につながることがあります。
サロン全体で料金を統一するか、ランク別にする場合は基準を明確にすることが重要です。
注意点2.お客様への事前説明が抜けている
予約サイトや受付で「指名料あり」と明記していないと、会計時にトラブルになることがあります。
お客様への事前説明はマスト。
以下の3点を徹底しておくと安心です。
・予約画面に「指名料◯◯円」と記載
・受付時や初回来店時に説明
・メニュー表やレシートにも明示
注意点3.指名料を値上げする
指名料を上げるときは、「人気が出たから」だけでは不十分です。
「技術の幅が増えた」「予約枠が限られるようになった」など、お客様に納得してもらえる理由を合わせて伝えましょう。
トラブル例
・「いつの間にか値上がりしていた」
・「担当を変えたら指名料も上がっていた」
・「同じメニューなのに料金が違う」
こうした事例は口コミにも影響するため、価格の透明性が大切です。
指名料制度を活用した美容師のキャリアアップ術
指名料は自分のキャリアを広げるチャンスにもなります。
キャリアアップの事例1.店内評価の基準として活用する
指名数・指名料の売上が高いスタイリストは、店長やマネージャーへの昇格対象になりやすいです。
特に「リピート率80%以上」や「月間指名100件以上」を維持できるくらいの実力があれば、サロン内での信頼度も上がり、待遇改善につながります。
キャリアアップの事例2.フリーランス・業務委託へ転身する
指名客が多い美容師は、業務委託やフリーランスに転身しても安定しやすいです。
指名料を自分で設定できるため、「カット8,000円+指名料1,000円=実質単価9,000円」といった収入構成も可能になります。
また、SNS経由で新規を呼び込みつつ、固定客を維持できれば、月収70〜100万円以上も視野に入ってくるでしょう。
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キャリアアップの事例3.個人ブランド・サロンを開業する
一定の指名数・指名料を継続的に得られるようになると、「自分の名前で集客できる=ブランド化」が実現します。
その結果、
・独立してサロンを立ち上げる
・セミナー講師として活動する
・オリジナル商品(シャンプー・スタイリング剤など)をプロデュースする
といった新しいキャリアにも発展する可能性があります。
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まとめ
美容師にとっての指名料は、単なる収入の一部ではありません。
・指名料がある =技術に価値を感じてもらえている
・指名数が増える=信頼とブランド力が高まっている
つまり、「お客様からの信頼度」と「美容師としての価値」を示すバロメーターでもあります。
技術や接客力を磨き、SNSでの発信力を強化すれば、指名数・指名料は自然と上がっていきます。
サロン任せにせず、「自分で価値を高める」意識を持つことで、美容師としてのキャリアも収入も大きく成長していくでしょう。
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