【美容師向け】カットモデルの活用ガイド|モデルの探し方、基準、注意点などを解説

美容師として技術を磨くために欠かせないのが「カットモデル」の存在です。

アシスタント時代からスタイリストデビュー後に至るまで、さまざまな場面で必要となるカットモデル。

しかし、モデルを選ぶ基準や探し方、注意点などを理解している美容師は意外と少ないのではないでしょうか。

 

本記事では「カットモデル」というキーワードを軸に、

・どこでモデルを見つければいいの?

・無料or有料、どっちがいいの?

・モデルに来てもらった後の流れや注意点は?

・トラブルが起きたらどうする?

などの悩みや疑問を持つ美容師の皆さんに向けて、カットモデルの活用法を徹底解説していきます。

美容室の「カットモデル」とは?

カットモデルとは、美容師が技術の向上などを目的に施術を行う際に協力してもらう“練習用のモデル”です。

マネキン(カットウィッグ)で練習を積んだのち、実際のモデル(人の髪)に施術を行う、という順番でステップアップします。

 

カットモデルは主に以下のような目的で依頼します。

 

  • カット技術や接客スキルを磨く
  • コンテストや試験に向けて練習する
  • サロンワークでは得られないフィードバックを得る
  • 新しいスタイルの提案を行う
  • スタイル写真の素材を撮影する
  • スタイリストデビュー前の技術をチェックする

 

アシスタントから一人前のスタイリストになるまでの過程において、「モデルを何人切ったか」=「どれだけ場数を踏んだか」は、そのまま自信と実力に直結します。

 

カラーモデルやサロンモデルとの違いは?

 

カラーモデルは、カラーリングの練習台になってもらうモデルです。

サロンモデルは、サロンを宣伝するための写真を撮影し、SNSやホームページに掲載するためのモデルを指し、3,000円~5,000円程度の謝礼金を支払うケースもあります。

 

カットとカラーの練習や撮影を兼ねる場合もあります。

 

カットモデルの施術料金は?

 

多くの場合は無料または格安料金で施術を行うことになりますが、その分、モデルには「練習中であること」への理解と協力が求められます。

 

  • カットだけ無料
  • カラーやパーマは材料費のみ
  • トリートメントや仕上げは別途料金

 

など、どの範囲までを「無料」にするかは、美容師側の目的(練習・素材確保・デビュー準備など)やスキルレベル、モデル側のモチベーションなどによって異なります。

 

有料にすると施術に対する責任感が高まる一方で、募集のハードルやクレームのリスクが高まるデメリットも。

最初は無料での施術から始め、技術や信頼を積み重ねた後に有料化していくのがスムーズかもしれません。

 

カットモデルの探し方・集め方

 

アシスタント美容師のカット練習は、最初のうちは家族や友達などからスタートし、慣れてきたらカットモデルに依頼して練習していくことになります。

 

カットモデルは主にSNSや募集サイト・アプリなどで探します。

 

SNS

 

現在もっとも主流となっているカットモデルの探し方は、Instagram、X、TikTokなどのSNSを活用したモデル募集です。

 

特にInstagramはビジュアル訴求が強く、「#カットモデル募集」「#原宿美容師」などのハッシュタグを使って投稿することで、ターゲット層に届きやすくなります。

投稿内容に条件(無料/時間帯/場所)を明記し、ビフォーアフターの写真を添えて投稿すると、モデル希望者からDMが届きます。

 

あるいは、「東京モデル」「カットモデル」などで検索し、気になるユーザーに美容師側からスカウトのDMを送る方法も◎

声をかけて断られた場合も、理由を聞き出し(髪を切ったばかりだから、痛むのがイヤだからなど)、懸念点を解消してあげると了承してもらえる可能性があります。

 

minimo

minimo(ミニモ)は、美容師が自身のスタイリング写真やサロン情報、施術料金などを掲載し、プロフィールページやクチコミを見たお客様から直接予約を受けられるサイト・アプリです。

通常のお客様の受付はもちろん、カットモデル募集の掲載もスマホから無料で行えます。

 

SNSのDMのように、minimo上のメッセージ機能を使って事前カウンセリングを行ったり、疑問に答えたうえで、実際に来店してもらう流れです。

 

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modeca

modeca(モデカ)は、アシスタントの練習用のカット・カラー・パーマモデルや、広告掲載用の撮影モデルを探している美容師とモデル希望者をマッチングするサイト・アプリです。

 

有料の募集が比較的多いminimoに対し、modecaは無料〜格安の募集が多い傾向にあります。

また、minimoは美容師側が募集を掲載→お客様からの連絡を待つという形式ですが、modecaはモデル一覧やランキングを見ることができ、美容師側からモデルにオファーを出すことも可能です。

 

声かけ

 

道で知らない人に声をかける方法はカットモデルの探し方として昔から行われてきました。

SNSや募集サイトの登場によって今は主流ではなくなりましたが、直接会って話せる安心感や、その場で条件を伝えられる即時性というメリットがあります。

 

自分から声をかける行為はハードルが高いものの、接客力やコミュニケーションスキルを磨く練習、お客様の髪型や髪質を見極める練習にもなります。

ただし、声かけは禁止されているエリアや施設もあるため要注意です。

 

カットモデルを選ぶ基準

施術に協力してくれるなら誰でもOK…というわけではありません。

目的に応じて、カットモデル選びの基準を明確にすることが、満足度の高い練習・作品作りにつながります。

「目的に合うモデル像」を事前に箇条書きでまとめておくと、スムーズに選定できますよ。

 

練習用のカットモデルを選ぶ基準

 

  • 髪の長さ・状態が施術目的に合っているか
    例えば、レイヤーカットの練習にはロング〜ミディアムの長さが必要です。
    また、初心者の場合は万が一失敗してしまっても修正ができるように髪の長いモデルを選びましょう。

 

  • 髪質やクセが極端に難しくないか
    初心者の場合は現状の自分のスキルで対応できる髪質のお客様を選ぶと安心です。
    慣れてきたら、さまざまな髪質のカットやスタイリングに対応できるように、毛量が多いor少ない、サラサラorくせ毛など幅広い髪質のモデルを探しましょう。

 

  • 練習中の失敗リスクを理解してくれているか
    髪型に強いこだわりや希望がある方はカットモデルとしては適していません。

 

  • 時間に余裕があるか(長時間かかる可能性があるため)

 

  • フィードバックをしっかりもらえるか

 

撮影用のサロンモデルを選ぶ基準

 

  • 顔立ちや雰囲気がスタイルのテーマに合っているか

 

  • SNSやポートフォリオに使える写真を撮れるか

 

  • 撮影・掲載やコンテスト出場の許可を得られるか

 

カットモデルに来てもらう際の注意点

 

カットモデルは単なる練習台ではなく、集客に貢献してくれる重要な存在で、将来の“見込み客”でもあります。

施術に満足したモデルがそのままお客様になってくれたり、クチコミやSNSでサロンの魅力を発信したりしてくれるケースも。

一方で、不満を持たれた場合や行き違いがあった場合、悪い評判が広まるリスクがあります。

 

そのため、感謝の気持ちを忘れずに、通常のお客様と同様に丁寧な対応を心がけることが重要です。

カットモデルとのやり取りでは、トラブルを未然に防ぐためにきめ細やかなコミュニケーションを心がけましょう。

 

事前に条件等を伝えておく

モデルとのトラブルの多くは、「事前の説明不足」が原因です。

以下のようなポイントをあらかじめ伝えておくことで、施術後の思わぬトラブルを回避できます。

 

  • 施術者が練習中であること/経験年数
  • 施術にかかるおおよその時間
  • 料金(無料・材料費のみ・有料)とその理由
  • 仕上がりに保証がない可能性があること
  • 撮影の有無や使用目的(SNS・作品集など)
  • スタイルチェンジの程度(大幅 or 微調整) など

 

特に、下記の要件は明確に伝えておきましょう。

 

必ず伝えること1.髪型

 

カットモデルでよくあるクレーム第1位が「イメージと違う仕上がりになった」。

髪の長さや色がどのくらい変わるのか、どんなスタイリングで退店してもらうことになるのかを事前に説明し、了承を得ておく必要があります。

言葉で伝えるだけでなく、写真を見せてイメージをすり合わせておくと安心です。

 

必ず伝えること2.料金

 

「無料だと思っていたのにカラーやトリートメントの料金を請求された」というトラブルもよくあります。

 

すべての施術が無料なのか、カット費用のみ無料になるのか、あるいは通常料金からどのくらい割引になるのかなどを依頼段階でしっかりと説明し、納得してもらったうえでカットモデルを引き受けていただくようにしましょう。

特に金銭トラブルは大きな不満につながりやすいので、認識の違いがないか施術直前にも確認しておくと◎

 

必ず伝えること3.目的

 

カットモデルを募集している理由・目的を説明しましょう。

 

例えば美容師側が「アシスタントの技術向上のための練習モデルを探している」つもりでも、カットモデル側が「レベルの高いスタイリングを安く受けられるかわりに撮影素材を提供する」と認識していた場合、トラブルに発展します。

 

必ず伝えること4.日時と場所

 

「思ったより時間がかかった」もカットモデルにおいてよくあるトラブルです。

所要時間を想定よりも長めに伝え、また「練習中のため時間がかかる可能性がありますが、丁寧に施術させていただきます。よろしくお願いします。」などのメッセージを添えることをおすすめします。

 

また、コンテストのモデルの場合、当日にモデルが遅刻することのないように、集合時間と場所を正確に伝えてこまめに連絡を取り合っておきましょう。

 

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カウンセリングを丁寧に行う

 

練習であっても、プロとして「なりたいイメージ」や「過去の履歴」をしっかりヒアリングしましょう。

カウンセリングの丁寧さによって、仕上がりや満足度が大きく変わります。

 

関連記事:美容師向けカウンセリングマニュアル!接客の手順や伝え方のポイントなどを解説

 

写真・動画の撮影許可を取る

SNSの投稿やホームページへの掲載、作品集用にカットモデルの撮影素材を使用する場合は、撮影と使用許可を必ず取ってください。

「言った・言わない」のトラブルに発展しないように、メッセージ等で記録を残しておくと安心です。

 

アフターフォローを行う

 

カットモデルであっても、施術後に「ありがとうございました。スタイルの調子はいかがですか?」というフォローのメッセージを送るだけでも印象は大きく変わります。

信頼感につながり、そこからリピーターになってもらえる場合もあります。

 

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カットモデル活用の成功事例・失敗事例

 

成功事例①毎回のモデル施術でフォトを残し、SNS経由でお客様が増加

カットモデルを撮影した写真をInstagramに定期的に投稿。

半年後にはDM経由で「予約したい」という問い合わせが増え、指名数が飛躍的に伸びた。

 

成功事例②同じモデルに3回以上来てもらい、信頼関係を構築

「毎回違う人」ではなく、同じモデルにリピートしてもらうことで、カウンセリングもスムーズに。

練習の質も上がり、スタイリストデビュー後にそのままお客様として来店してくれた。

 

失敗事例:撮影用モデルの仕上がりがイマイチで、イメージに使えなかった

撮影モデルを見た目だけで選んだ結果、髪質や要望がマッチせず、イメージに合わない作品しか撮れなかった。

→モデル選びの際は、「作りたいスタイルや客層に合うかどうか」をしっかり見極めるべきです。

 

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まとめ

カットモデルを活用することは、単なる技術練習ではなく、美容師としてのキャリアを育てる投資です。

時間や労力はかかりますが、それ以上に得られる経験・人脈・信頼は、美容師人生の大きな資産になります。

本記事を参考に目的に合ったサロンモデルを見つけて、スキルアップに役立ててくださいね。

 

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