ネイリストは、お客様の爪をネイルアートで美しく見せたり、爪をケアしたりする専門家です。
美容系の仕事の中でも昔から人気のある職種ですが、最近はネイリスト向けの資格試験や講座を取り扱う会社が増え、メディアでも目にする機会が増えるなど、注目度がますます上がりつつあります。
実際にネイリストとして働くうえではもちろん、就職や集客にも役立つのが「資格」です。
本記事では「ネイリストになるには資格が必要なの?」「どの資格を取ればいいのか分からない」といったお悩みを抱えている方のために、ネイリストの資格について徹底解説します。
ネイリストとしてのキャリアへの第一歩を踏み出したい方や、スキルアップしたい現役ネイリストさんはぜひ最後までご覧ください。
関連記事:ネイリストの給料はどれくらい?働き方別の収入や給料アップの方法を紹介
資格なしでもネイリストになれる?
ネイリストになるために必須の資格や免許はありません。
資格がなくてもネイリストとして働くことは可能であるため、美容系のなかでも比較的目指しやすい職種です。
ただし、無資格だと就職活動や集客で不利になる可能性があります。
美容師やアイリストとして働くために必要な美容師免許のような国家資格はないため、民間資格の取得を目指し、知識や技術を身につけましょう。
ネイリストが資格を取得するメリット
・就職や転職に役立つ
ネイリストの求人の中には「初心者歓迎」と記載されている募集もあり、無資格であっても就職後の研修で学びながら働ける制度が整っているサロンもあります。
しかし、このような無資格OKのサロンであっても有資格者と比べて採用される可能性は下がります。
また、資格の所持が採用条件になっているケースも。
資格を持っていれば応募できるサロンの選択肢が広がり、履歴書や面接で自分のスキルをアピールできます。
・お客様からの信頼や安心感につながる
ネイリストの仕事はお客様の爪にネイルアートを施すだけでなく、爪のお悩みへのアドバイスや甘皮のケアなど多岐に渡ります。
ネイリストの資格や検定を勉強することで、幅広い専門知識や技術が身につき、自信をもって施術の提供や接客ができるようになります。
「無資格よりも資格のあるスタッフにお願いしたい」と感じるお客様も少なくないため、資格があれば指名も増えていくでしょう。
・スキルや給与の向上につながる
ネイリストの資格は、基本的な知識や技術を学べる初心者向けのものから、ネイルの専門家として知っておくべき総合的なノウハウを習得できる上級者向けのものまでさまざま。
上級資格へとステップアップするうちに、自分のスキルやモチベーションも上がっていくでしょう。
また、サロンによっては昇進の目安になったり、指名料のバックが増えたりと、給与アップにつながることもあります。
ネイリストが資格を取得する手順
1.取得する資格を調べる
資格によって試験の難易度や習得できる知識・技術、受験費用、受験会場などが異なります。
現在のスキルや目的に合わせてチャレンジする資格を決めましょう。
2.学習方法を決める
資格取得を目指してネイルに関する知識・技術を身につける方法として、①独学②通信講座で学ぶ③ネイルスクールに通うという3つの手段があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、生活スタイルや環境に合わせて最適な学習方法を選択しましょう。
メリット | デメリット | |
独学 | ・費用を抑えられる ・自分のペースで勉強できる |
・質問や添削依頼ができない ・モチベーション維持が難しい |
通信講座 | ・スクールより費用が安い ・時間や場所の融通がきく |
・その場ですぐに疑問を解決できない ・実技の習得が難しい |
ネイルスクール | ・プロから直接指導を受けられる ・就職サポートがある |
・費用がかかる ・通学の時間を確保しなければならない |
3.試験を受ける
試験当日まで勉強と練習を繰り返したら、あとは筆記試験・実技試験を受けるのみ。
大きな会場でも緊張しないように、集中力を高めておきましょう。
また、忘れ物や遅刻のないように余裕を持って準備を済ませておいてください。
試験後は約1ヶ月で合否通知が届きます。
ネイリストの仕事で役立つ資格4選
ネイリストの資格を取得すれば、ネイルの知識や技術を持っている証明になります。
ここでは、「JNECネイリスト技能検定」や「JNAジェルネイル技能検定」を含む4つの資格の試験内容や難易度について解説します。
JNECネイリスト技能検定
ネイリスト技能検定は、日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が実施する資格試験です。
1級・2級・3級に分かれており、各級の内容や合格率は以下のとおりです。
級数 | 内容 | 合格率 |
1級 | トップレベルのネイリストに求められる総合的な技術と知識 | 約39% |
2級 | サロンワークで通用する技術・知識 (ネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アート) |
約43% |
3級 | 基本的なネイルケアやネイルアートの技術・知識 | 約85% |
1級は年に2回、2級と3級は年に4回開催されており、これまでに約99万人もの受験者実績があります。
北海道から沖縄まで、全国にある試験会場にて受験可能です。
各級、筆記試験と実技試験に分かれています。
飛び級で受験することはできませんが、筆記のみ合格した場合、次回の試験で同級の筆記試験が免除されます。
なお、筆記試験には公式問題集が用意されているため、事前に十分な対策ができるでしょう。
試験の合格者には合格証書(ディプロマ)が発行されます。
JNAジェルネイル技能検定
JNAジェルネイル技能検定は、日本ネイリスト協会(JNA)が実施する資格試験です。
ネイルサロンメニューの60%以上がジェルネイルと言われている昨今、サロンワークでジェルネイルを施術するネイリストなら技術の証として持っておきたい資格のひとつ。
全国で10万人以上が取得しています。
JNAジェルネイル技能検定は初級・中級・上級に分かれており、各級の内容や合格点は以下のとおりです。
級数 | 内容 | 合格点 |
上級 | ジェルネイルのスペシャリストとして求められる総合的な技術と知識 | 筆記試験・実技試験ともに80点以上 |
中級 | サロンワークでジェルネイルとネイルケアを提供するために必要な技術・知識 | 筆記試験は80点以上 実技試験は70点以上 |
初級 | ジェルネイルやネイルケアに関する基礎的な技術・知識 | 実技試験は70点以上 |
合格率は公表されていませんが、初級で約70%、中級で約60%、上級で約45%と言われています。
札幌から福岡まで全国7会場にて、年に2回開催されています。
合格者には合格証(ディプロマ)と資格バッジが授与されます。
なお、先ほど紹介したJNECネイリスト技能検定の合格者は、重複する課題が免除されるなどの制度も用意されています。
JNAネイルサロン衛生管理士
JNAネイルサロン衛生管理士は、同じく日本ネイリスト協会(JNA)が実施する資格試験。
同協会が制定した「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」の普及が目的とされており、お客様に安心して施術を受けてもらうために持っておきたい資格です。
約180分間の講習と20分間の筆記テストを受け、合格すると認定証と資格バッジが授与されます。
合格率は非公開ですが、択一方式の確認テスト20問(100点満点)のうち80点以上とれば合格です。
講習から合格発表まで1日で実施されるため、比較的気軽に受験できます。
同協会には「JNA認定ネイルサロン」という制度があります。
技術やコンプライアンス、衛生管理などの各条件をクリアしたネイルサロンのみが認定を受けることができ、お客様の信頼につながる制度です。
JNAの認定ネイルサロンには「JNAネイルサロン衛生管理士」の資格を持っているネイリストを在籍させる必要があるため、就職・転職や昇給で有利になるでしょう。
I-NAIL-Aネイルスペシャリスト技能検定
ネイルスペシャリスト技能検定は、インターナショナルネイルアソシエーション(I-NAIL-A)が実施する資格試験です。
札幌から沖縄までの全国4〜5会場にて、年に3回実施されています。
学生や初心者を対象としたA級・SA級と、プロのネイリストを対象としたPA級・AA級・AAA級に分かれており、飛び級でも受験できます。
各級の内容や合格点は以下のとおりです。
級数 | 内容 | 実技試験の合格点 |
PA級・AA級・AAA級 | ネイルケア、ネイルチップ、スカルプチュア(クリア・フレンチ)、カラーリング(マット赤・ホワイトパール) | 60点以上:PA級 70点以上:AA級 80点以上:AAA級 |
SA級 | ネイルケア、チップオーバーレイ、カラーリング(パールホワイト) | 80点以上 |
A級 | ネイルケア、カラーリング(マット赤) | 80点以上 |
いずれも筆記試験と実技試験が実施されます。
筆記試験はマークシート方式で、50問中40問以上正解(80点以上)で合格となります。
合格率は公表されていませんが、A級・SA級は70〜80%、PA級・AA級は15〜45%、AAA級は10%ほどと言われており、難易度は高いようです。
ネイリストの資格試験でよくある質問
最後に、ネイリストの資格に関してよくある質問に回答していきます。
試験当日も安心して受験できるように、疑問や不安を解消しておきましょう。
受験資格は決まってる?
ネイリストの資格を受験する方は現役ネイリストだけでなく、学生や主婦、社会人までさまざま。
先ほど紹介した資格の受験条件は次のとおりです。
資格 | 級数 | 受験条件 |
JNECネイリスト技能検定 | 3級 | 義務教育を修了した方 |
2級 | 3級取得者 | |
1級 | 2級取得者 | |
JNAジェルネイル技能検定 | 初級 | 義務教育を修了した方 |
中級 | 初級合格者 | |
上級 | 中級合格者 | |
JNAネイルサロン衛生管理士 | 18歳以上 | |
I-NAIL-Aネイルスペシャリスト技能検定 | 義務教育を修了した方 (未修了の場合は保護者の承諾書を提出) |
上記のように性別や年齢の上限、学歴、就労経験などの条件は設けられていません。
初級の試験は趣味でセルフネイルを楽しみたい人やネイリスト未経験の人も多いですが、級数が上がるにつれて現役のネイリストや、コンテスト受賞者など経験豊富な人の割合も増えていきます。
受験にかかる費用は?
ネイリストの資格試験にかかる受験料は6,600円〜16,500円と、資格の種類や級数によって異なります。
資格 | 級数 | 受験料 |
JNECネイリスト技能検定 | 3級 | 6,800円(税込) |
2級 | 9,800円(税込) | |
1級 | 12,500円(税込) | |
JNAジェルネイル技能検定 | 初級 | 9,900円(税込) |
中級 | 13,200円(税込) | |
上級 | 16,500円(税込) | |
JNAネイルサロン衛生管理士 | 11,000円(税込) JNA会員は6,600円(税込) |
|
I-NAIL-Aネイルスペシャリスト技能検定 | A級 | 11,000円(税込) |
SA級 | 13,200円(税込) | |
PA級、AA級、AAA級 | 16,500円(税込) |
上記の受験料に加え、試験勉強に必要なテキスト代や通信講座の受講料などが別途かかります。
道具は自分で準備する?
ネイリストの資格試験中に使う道具は、自分で用意して持ち込む必要があります。
・筆記用具
・ゴミ袋
・フィンガーボール
・ネイルブラシ
・ファイル
・ガーゼ
・タオル
・アームレスト
・リムーバー
・アート用品
・ポリッシュ類 など
使用可能な道具は各資格試験ごとに定められています。
また、試験官が道具をチェックできるように、一部のアイテムは必ず品名ラベルを貼り付けなければなりません。
忘れ物や規約違反をした場合は減点や失格になる可能性があるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
ハンドモデルは必要?
ネイリストの実技試験では、ハンドモデルに同行してもらう必要があります。
試験ごとにモデルの条件や当日のルールが定められており、万が一モデルの遅刻やマナー違反があれば失格となるため注意しましょう。
また、一部の試験ではハンドモデルではなく、トレーニングハンド(ネイル練習用ハンドマネキン)を使用します。
トレーニングハンドを忘れた場合や、誤ってモデルを連れてきた場合は受験できません。
試験会場の雰囲気は?
ネイリストの資格試験は、ホールや催事場といった大規模な会場や美容専門学校などを利用するケースが多いです。
近くの試験会場で午前・午後に分かれて受験したり、数十人ずつ教室に分かれて受験します。
試験会場ではネイルスクールの講師や現役のネイリストが試験官を務め、厳しい審査が行われます。
試験中に注意されないように、試験内容はもちろん、減点項目や失格項目を事前にチェックしておきましょう。
試験本番は緊張するかもしれませんが、決められた時間で回答・完成させる必要があります。
練習時はストップウォッチを使いながら何度もトレーニングし、焦らず受験してくださいね。
まとめ
ネイリストになるために必須の国家資格はありませんが、民間資格を取得すれば就職や給与アップ、スキルアップなどにつながります。
これからネイリストになりたい人はもちろん、毎日のサロンワークをより充実させたい人や将来独立してネイルサロンを開業したい人にも役立つさまざまな民間資格が存在します。
目指したいレベルに合わせて、資格や階級を選んで受験にチャレンジしてみては?
当サイト「キレイビズ」では、理想の美容室・サロン探しのためになる情報を提供し、全国を対象に美容室・サロン探しのお手伝いをしています。
業界事情や美容室・サロンの特徴を熟知した担当者がお話をうかがいますので、まずはお気軽にご相談くださいませ。