エステサロンの種類とは?仕事内容や施術方法による違いをエステティシャン向けに解説

エステとはハンドや機器を使い、顔や身体を美しい状態へと導く美容メニューです。
昨今の美容意識の高まりと共に、女性はもちろん男性の利用者も増えています。

ひと言で「エステ」と言っても、お肌をケアしたり体型を整えたりと、その効果や内容はさまざま。
エステサロンのコンセプトやジャンルは近年ますます細分化されており、エステティシャンの方はどのサロンで働くべきか迷うことも少なくないでしょう。
施術の内容や求められるスキルは、各サロンで提供しているメニューによって大きく異なります。

本記事では、エステティシャンの方や将来エステサロンを開業したいと考えている方に向けて、主なエステ・エステサロンの種類を解説します。

 

エステの施術内容による種類分け

エステティシャンとして働きたい場合、まずはエステの種類やそれぞれの特徴を知っておくことが大切です。
施術内容に着目して分類すると、顔周りの施術を行う「フェイシャルエステ」、全身の施術を行う「ボディエステ」、ムダ毛処理が目的の「脱毛エステ」の3種類に分けられます。

 

フェイシャルエステ

顔から首・鎖骨・デコルテあたりまでの範囲を中心に行うトリートメント施術を「フェイシャルエステ」と言います。
ハンドケアを中心とした施術が多いですが、超音波や光照射などの美容機器を用いた施術も人気です。

フェイシャルケアではクレンジング・洗顔から始まり、マッサージ、美容液の導入やパックなどを行う流れとなっています(一例)。
お顔に関するお悩みは多種多様であるため、特定の分野に特化したメニューやサロンが用意されているのが特徴です。

フェイシャルエステは主に次の2パターンに分類されます。

美肌系

シミやシワ、たるみ、毛穴、ニキビ、くすみなどのお悩みにアプローチするメニューです。
美白エステやエイジングケアエステ、肌質改善エステなどが挙げられます。

小顔・リフトアップ系

顔のむくみや二重アゴ、筋肉の凝りなどのお悩みにアプローチするメニューです。
キャビテーションや脂肪冷却マシンといった機器が使用されることもあります。

 

ボディエステ

顔だけでなく全身に行うトリートメント施術が「ボディエステ」です。
顔から足先までトータルで行う場合もあれば、上半身または下半身のメニュー、肩甲骨周りやウエスト周りなど特定の部位のみに特化した施術も存在します。
施術範囲が広いので、幅広い知識やテクニックが必要となるでしょう。

リラックス効果を得ることを目的としたリラクゼーションエステのほか、身体にまつわるお悩みやコンプレックスにアプローチするメニューも多いです。
例えば、次の2パターンが挙げられます。

痩身・ダイエット系

お腹周りのたるみや下半身のむくみなど身体に関するお悩みを解消すること、セルライトにアプローチすること、全身のスタイル・プロポーションを整えることなどを目的としたエステを「痩身エステ」や「ダイエットエステ」と言います。
自己流のダイエットや運動がうまく行かない方、部分痩せを目指したい方に人気です。

ハンドマッサージによるケア以外に、EMSやボディハイフ、ラジオ波などの機械を使う場合もあります。
骨盤矯正や姿勢改善、体質改善といったさまざまなアプローチも用意されています。

デトックス系

代謝を改善し、身体の中に溜まった老廃物を排出することを目的とした施術を「デトックスエステ」と言います。
身体の内側から健康的に美しくなりたい方やリラックスしたい方に人気です。

リンパマッサージ(リンパドレナージュ)やアーユルヴェーダ(インド式のエステ)、かっさプレートを使用したオリエンタル式マッサージ、よもぎ蒸しや岩盤浴などのメニューが挙げられます。
デトックス系のエステでは、施術後にハーブティーを出すことも多いです。

 

脱毛エステ

「脱毛エステ(エステ脱毛)」は、ムダ毛の処理(一時的な除毛・減毛)を目的として提供されるエステメニューです。
先に挙げたフェイシャルエステやボディエステと異なり、基本的にはマッサージなどを行わず、全身またはお客様が希望される部位に対して毛を薄くする・生えにくくするメニューを提供します。

昨今男女ともにニーズが伸び続けており、脱毛エステサロンの数も増加傾向にあります。
光脱毛機を使用した「光脱毛」がメインですが、専用のワックスを使用した「ワックス脱毛」というメニューも存在します。

光脱毛

光脱毛(美容脱毛)とは、光を照射するマシンを使用して成長期の毛根に熱ダメージを与え、毛が生える力を弱めるメニューです。
医療機関にて医師や看護師のみが施術を提供できる「医療脱毛(永久脱毛)」に比べて効果が薄いと言われていますが、痛みや費用を抑えたい方から人気があります。

エステティシャンにとっては、マシンを使用するため体力的な負担が少なく、特別な資格や技術が必要でない点がメリットです。
光脱毛にはIPL脱毛やSHR脱毛、SSC脱毛、ハイパースキン脱毛といったさまざまな種類があります。

ワックス脱毛

ワックス脱毛とは、ムダ毛が気になる部位に専用のワックスを塗布し、固まってから一気に剥がすことによって毛を抜く施術です。

主に、はちみつや砂糖といった天然素材で作られたブラジリアンワックスを使用します。
お客様が感じる痛みやお肌への影響はワックスの種類だけでなく、エステティシャンの技術によっても左右されます。

 

エステサロンのジャンルや働く場所による種類分け

エステの種類は施術内容による違いだけではありません。
サロンのメインターゲットやお客様の目的によって、特化したサロンが開業されています。

続いて、エステサロンのジャンル・コンセプトによる種類を紹介します。
なお、ムダ毛処理メニューを提供する「脱毛サロン」については、「脱毛エステ」を解説済みのためここでは割愛します。

 

スパ・リラクゼーションサロン

「スパ」や「リラクゼーションサロン」と呼ばれるエステサロンでは、日々の疲れやストレスを癒し、心身ともにリラックスしてもらうためのメニューが提供されています。
お肌のお悩みやコンプレックスの解消というよりは、癒しやリフレッシュできる時間の提供が主な目的です。

メニューの内容としては、アロママッサージやヘッドスパ、ホットストーンセラピーなどが用意されています。
妊娠している方を対象に無理のない範囲で施術を提供する「マタニティエステ」を用意しているサロンもあるようです。

スパやリラクゼーションサロンは、リゾート施設や温泉施設、高級ホテルなどに併設されているケースも。
お客様に快適な環境で過ごしてもらえるよう、ラグジュアリーな雰囲気のサロンが多いです。
お客様は非日常感や特別感を求めて来店されるため、エステティシャンには高い技術力に加え、丁寧な接客スキルが求められます。

 

ブライダルエステサロン

「ブライダルエステサロン」は、主に結婚式を控えている花嫁に対して施術を提供しているエステサロンです。

一生に一度のハレの日を自分史上最も美しい状態で迎えたい、という想いを抱える女性に向けて、フェイシャルエステやボディエステ、シェービングや痩身エステなどのメニューが用意されています。
ウェディングドレスから露出するデコルテや背中、二の腕やハンドのお手入れをお願いされるお客様が多いです。
中には、新郎新婦が同時に施術を受けられるサロンも存在します。

一般的には、結婚式の数ヶ月〜数週間前に予約が入ります。
大切な日の前に行うエステゆえに即効性が求められ、責任重大ですが、そのぶんやりがいも大きいでしょう。

 

メンズエステサロン

メンズエステサロンは、主に男性のお客様に対してサービスを提供する専用エステサロンです。
「女性が多く出入りするエステサロンだと来店しづらい」と感じられる男性から支持されており、近年店舗数が増加しています。

通常のフェイシャルエステやボディエステのほかに、シェービングやヒゲ脱毛メニューといった男性特有のメニューが用意されている点が特徴。
メンズエステサロンで働くエステティシャンには、男性の身体に関する知識や女性ほど美意識の高くない方に対する説明力も求められます。

 

訪問エステ・出張エステ

従来のエステサロンのような固定店舗にお客様が来店される形式ではなく、エステティシャンがお客様のもとに出向いて施術を提供することを「訪問エステ」「出張エステ」と言います。
家事・育児や介護で忙しく外出できない方、身体が不自由でエステサロンに通えない方、近隣にエステサロンがない方、自宅でリラックスして施術を受けたい方などに利用されています。

出張先はお客様の自宅や滞在先のホテルなどになるため、タオルや美容機器などの備品を持ち運ぶ必要があります。
自動車免許と自家用車があると便利です。

訪問先の環境やお客様のご要望に合わせて一部メニューを変更しなければならないシーンもあるため、臨機応変さが求められます。

 

プライベートサロン・自宅サロン

自宅やマンションの一室などを施術スペースとしてエステサービスを提供する小規模なサロンを「プライベートサロン」と言います。
完全予約制で、お客様ひとりに対するお出迎えからお見送りまでを1名のエステティシャンが担当するケースが多いです。

静かなプライベート空間で、人目を気にすることなくエステを受けられる点が人気。
エステティシャンにとっても、自分や家族のスケジュールに応じて営業できる、通勤時間がかからない、ひとりひとりのお客様に専念できるなどのメリットがあります。

 

エステの手法による種類分け

エステを提供する際の施術の手法によって、「ハンドエステ」と「マシンエステ」に大別されます。

 

ハンドエステ

ハンドエステ(オールハンドエステ)とは、エステティシャン自身の手を使って行うエステ。
人の手のぬくもりと繊細な力加減によって、マシンを使用したエステよりもお客様にリラックスしてもらいやすいです。

ただし、エステティシャンには高い技術力が求められます。
同じサロンでも担当するエステティシャンによってお客様の感じ方や効果が変わる場合があるため、技量が足りていないとクレームにつながることも。
お客様の期待と信用を裏切らないように、研修や勉強を怠らずスキルアップし続けましょう。

 

マシンエステ

マシンエステとは、機械を使用して行うエステです。
ハンドエステだけだと限界のあるアプローチも、マシンを活用すれば効率よく行うことができます。
また、機械の操作方法を習得すれば、まだ技術が未熟なエステティシャンでも問題なく施術可能です。

マシンエステにはリンパの流れや脂肪の代謝を促す「超音波」、電気刺激によって代謝の向上を図る「EMS」、脂肪燃焼を促す「ラジオ波」「キャビテーション」など、さまざまな機器があります。
新しい機器がどんどん登場するため、お客様からのニーズやトレンドについていけるように、日々最新情報を学ぶ姿勢が大切です。
独立・開業を目指しているエステティシャンの方は、コストパフォーマンスや保証・メンテナンスの有無などにも注意してマシンを選びましょう。

最近は、サロン内に設置されたエステ機器を、お客様が自ら使用する「セルフエステサロン」も流行しています。

 

まとめ

エステにはボディやフェイシャルだけでなく、脱毛エステやブライダルエステなど、施術内容やターゲットによってさまざまな種類があります。
どのエステを選ぶ場合でも「お客様の美を磨く」という点では共通していますが、自身のスキルや興味のある分野に応じて、働き方を選ぶといいでしょう。
美容のトレンドやニーズの変化に合わせて、柔軟に対応できるように、エステ技術を磨いてみてくださいね。

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