美容室の単価とは?美容師の単価アップのやり方や失客を防ぐポイントなどを解説

美容師にとっての目標のひとつがより多くの売上を上げること。
売上を増やすためには回転数や来店頻度を向上する方法のほかに、お客様1人あたりの単価を上げる方法があります。

追加メニューや物販を提案することで単価アップを目指せますが、提案方法によってはお客様に「押し売りされている」と感じさせてしまう可能性も。
メリットを提示できていないとただの値上げになってしまい、印象が悪くなってお客様を失う恐れがあります。
そのため、単価アップに苦手意識のある美容師も少なくありません。

本記事では美容室で単価を上げる方法やコツ、失客せずに単価アップを目指すポイントなどを美容師目線で解説します。

 

美容室における“単価”とは

美容室の売上=客単価×客数 で計算されます。

コロナ禍で客数や来店頻度が減少し、売上が下がったサロンも多いです。
そのため、美容室側でコントロールできる客単価を上げ、売上を伸ばす必要があります。

厚生労働省の発表によると、美容室の平均客単価は6,000円〜6,500円ほど。
この金額をベースに、顧客満足度を上げつつ客単価アップを目指しましょう。

【参考】厚生労働省 美容業 統計情報

また、なかには客単価ではなく「時間単価」を重視している美容室も。
例えば1,000円カット、10分カットのような格安ヘアカット専門店などが挙げられます。
お客様1人1人の単価を上げるのではなく、余計なものを削ぎ落として短時間で回転させ、時間あたりの単価を上げるという考え方ですね。
時間単価を上げる考え方は技術力や美容室の方針によっても異なるため、本記事では客単価をメインで取り上げます。

 

美容師が単価を上げる3つの方法

美容室において客単価をアップする方法は主に3つ。

  1. 複数のメニューをセットで提案する
  2. 高単価メニューを提案する
  3. 物販(店販)を強化する

それぞれ具体的に解説していきます。

 

複数のメニューをセットで提案する

美容室にはカット、ヘアカラー、トリートメント、パーマ、縮毛矯正・・・・・・などさまざまな単品メニューが存在します。
美容室ごとに「カット+ヘアカラー+パーマ」や「カット+縮毛矯正+トリートメント」などのセットメニューが作成されているケースもあるでしょう。

セットメニューとは、お客様がオーダーしやすいように複数のメニューを組み合わせたもの。
お客様側は全体の施術内容および料金をひと目で把握でき、美容室側は高単価メニューや推したいメニューを基本メニューと組み合わせて提案しやすくなります。

美容室にあるセットメニューだけでなく、お客様の髪の状態や属性、シーズンに合わせて組み合わせて提案してもOK!
・「このカラーにトリートメントをプラスすると色持ちが良くなりますよ」
・「夏限定の特別なスパメニューをご用意しているのですが、シャンプーと一緒にいかがですか?」
など、お客様がオーダーする理由を探して提示してあげることが大切です。

セット提案するメニューに迷ったときは、リピート率の高いお客様が受けられているメニューをチェック。
リピーターに何度も注文されているメニューは、ファンになってもらいやすいメニューだと言えます。
美容室全体で情報共有しながら、セット提案の定番メニューを見つけてみてください。

 

高単価メニューを提案する

ヘアカラーやトリートメントは、使用する薬剤・成分や施術時間によって異なる価格のメニューが段階的に用意されているケースが多いですよね。
同じ施術の中でより価格の高いメニューを提案することで、客単価を上げられます。
複数メニューのセット提案では「数を増やす」ことで単価アップを目指しましたが、高単価メニューの提案は「質を上げる」方法です。

3,000円のトリートメントではなく7,000円の高単価トリートメントをオーダーしてもらいたい場合、差額4,000円分の理由をしっかりと説明する必要があります。
使用する薬剤の違い、成分とその効果、施術後の髪の違い、解決できる悩みなど差額を支払うメリットを素人でも理解できるように分かりやすく説明しましょう。

高単価メニューの提案が難しいと感じたら、極端の回避性(松竹梅の法則)という心理学の効果を活用するのも手です。
極端の回避性とは、3,000円・5,000円・7,000円のトリートメントのように金額を3段階に設定すると、お客様が真ん中のメニューを選びやすくなるというもの。
最も高いメニューはお財布事情で避けられますが、最も安いメニューを選んでケチだと思われたくないという心理が発生するからです。

また、近年ヘアケアメニューの需要が高まっています。
ホットペッパービューティーの調査によると、美容室のメニューランキング1位は「髪質改善」。
トリートメントなどのヘアケアメニューはお客様に求められている、かつカットやシャンプーなどどのメニューとも組み合わせやすいので、積極的に提案するといいでしょう。

どの高単価メニューを提案すべきか迷ったら、美容室における上位2割の優良顧客に選ばれているメニューをチェック。
これは、顧客全体の2割にあたる優良顧客が全体売上の8割を占めているという「パレートの法則(2:8の法則)」に基づいた考え方です。
高単価のお客様が選ばれているメニューは単価を上げやすいメニューなので、そのお客様を担当しているスタッフの提案方法を取り入れつつ、追加提案してみてはいかがでしょうか。

 

物販(店販)を強化する

施術自体の単価を上げるほかに、美容室の店内にある商品を販売して単価アップを目指す方法もあります。
お客様側はプロが認めた質の良い商品を手に入れて満足感・特別感を得られ、美容室側は時間コストをかけずに売上を上げることが可能です。

物販(店販)の内容は美容室ごとにさまざまですが、実際の施術で使用しているシャンプーやトリートメント、スタイリングで使用するワックスやヘアアイロン、ドライヤーなどが定番です。
施術中に「店頭にも置いているものなのですが〜」「私も使っているのですが〜」など取り扱いがあることを示唆しつつ試し使いしてもらい、お客様の反応を見て商品の案内を行いましょう。

最近は化粧品やアクセサリー、食品やサプリメントなどヘアケア商品以外の物販を行う美容室も増えています。
過ごす時間の長い美容室では、2〜3時間の施術時間中にお客様と美容師がいろんな会話をします。
趣味や恋愛、ファッションやライフスタイルの話などを通じてお客様が求めているものを読み取り、上手く提案できる美容師は単価を上げられるでしょう。
長く通ってくれている指名客はあなたのファンになっている可能性が高いので、「美容師さんが言うなら買ってみようかな」「同じアイテムを使ったらオシャレになれそう」という風に、アドバイスを受け入れてもらいやすいです。

【関連】美容師が店販を売るコツとは?店販のメリットやアプローチ方法、美容室の工夫まとめ

 

美容師が単価アップを目指す際のポイント

ここまで単価アップの方法を解説してきましたが、積極的な提案が逆効果になる可能性もあります。
無理な提案をしてメニューの値段を上げるだけでは、一時的な売上は上がるかもしれませんが、長い目で見るとお客様が離れていってしまいます。

カウンセリングやコミュニケーション、提案方法や技術力など、以下で挙げるポイントを押さえておきましょう。

 

カウンセリングを強化する

カウンセリングではお客様自身で認識されている髪のお悩みや仕上がりイメージだけでなく、潜在的なニーズを掴み取ることが大切です。
単なるヒアリングにならないように、お客様が言葉にしない・自覚していない部分を聞き出せるようなカウンセリング力が求められます。

例えば、「梅雨で髪がボワッと広がるから軽くしてほしい」とオーダーがあったとします。
言われたまま髪の重さを整えるのではなく、そのオーダーに至った理由・背景まで掘り下げて聞いてみましょう。
「スタイリングを楽にしたい」が本当の望みなのであれば、「重さを変えずに切り方をこうすると楽に負けますよ」「色を明るくすると軽やかな印象になりますよ」などさまざまな角度から提案できますよね。

また、お客様のオーダーを深掘りして潜在ニーズを引き出し、より最適なメニューの提案ができるようにアドバイス力を磨く必要もあります。
施術を通して深い悩みを解決することができれば、単価が上がったとしても満足してもらえるはずです。

 

単価アップを狙うお客様を絞り込む

客単価を上げたいと思ったときに、すべてのお客様に提案を行うのはおすすめしません。
ターゲットを絞り込み、提案を受け入れてくれそうな顧客層にのみアプローチを行うのが効率的です。

提案を行いたいメニューや商品を選んだら、そのメニュー・商品をリピートしている顧客の特徴や、どのようなタイミング(来店時期や回数など)で注文・購入されたのかを分析します。
このとき、美容室のPOSシステムに蓄積されたデータや同僚へのヒアリングも参考にすると良いです。
実際のデータと分析に基づいて、当てはまる顧客層を選定して納得感のある提案を行いましょう。

 

キャッチーな提案をする

追加でメニューを提案する際は、お客様の興味を引き出せるようなキャッチコピーを添えると◎
お客様の年齢やお悩み、性格や趣味嗜好に合わせたコピーを考えてみましょう。

例えば・・・
・50代のお客様には「髪が喜ぶ成分をたっぷり配合したエイジングケア専用の◯◯」
・トレンドに敏感なお客様には「今年人気No.1!いま1番選ばれている◯◯」 など

成分や施術手順など具体的な説明よりも先に、分かりやすくイメージしやすいコピーがあると選ばれやすくなります。
お客様が興味を示したら、丁寧な説明や説得力が増すデータ(ビフォーアフター写真やアンケート結果など)を提示すると購入意欲が高まりますよ。

 

お客様との信頼関係を築く

客単価を上げるためには、お客様との信頼関係構築が必要不可欠。
来店中の接客・コミュニケーションだけだと時間が限られているため、来店後のアフターフォローも重要になってきます。

来店のタイミングで高まった顧客満足度やメニュー・商品への興味は、施術直後から日数が経過するにつれて低下していきます。
SNSでヘアケア情報を発信したり、DMで「ホームケアのお悩みありませんか?」のような連絡をしたりと丁寧なアフターフォローを行えば、満足度や興味を維持したまま次回の来店につなげられます。

 

商品・メニューに関する知識を深める

美容師が追加のメニューや商品を提案されたとき、お客様から疑問や不安をぶつけられることもあるでしょう。
このときにきちんと回答することができなければ、オーダー・購入に至らないだけでなく、不信感を抱かれてしまう可能性があります。

単価アップの提案を行ううえで大切なのは、商品やメニューに関する深い知識。
とはいえ、美容室で取り扱っているすべての商品やメニューの知識を網羅するのは難しいですよね。
自分の抱えているお客様に人気の商品や、同じ属性の顧客層でリピート率の高いメニューに絞り込んで勉強するのが良いでしょう。

 

まとめ

美容師が売上を上げるためにはお客様1人あたりの単価アップが必要です。
複数メニューのセット提案、高単価メニューへのアップセル、物販の強化を行えば単価アップを狙えますが、お客様の心象を損ねない工夫も大切になってきます。
カウンセリング力や提案力、商品知識の向上や信頼関係の構築などを行い、満足度の高まるWin-Winの単価アップを目指しましょう。

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