美容師と理容師の違いとは?仕事内容や資格、年収、活躍の場などを比較解説

髪を整える職業には、美容師だけでなく理容師も挙げられます。
必要な資格や行える仕事内容は、法律上それぞれ異なるということをご存知でしょうか。

本記事では、仕事内容や年収、資格や国家試験の内容、働ける場所など、美容師と理容師の違いを項目ごとに比較していきます。
髪を整えるなどのサービスを通してお客様を美しくする職業を目指している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

美容師と理容師の違い1.仕事内容

美容師と理容師の仕事内容は、美容師法と理容師法で定められている『美容の定義』『理容の定義』によって異なります。
美容師と理容師ができること/できないことを比較すると、次の表のようになります。

美容師

理容師

カット

カラー

パーマ

顔剃り・シェービング

化粧・メイク

×

結髪・ヘアセット

×

まつ毛エクステ・まつ毛パーマ

×

以下、それぞれ解説します。

美容師の仕事内容

美容師法によると、美容師の仕事内容は“パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること”。
髪の毛のカットやカラー、パーマに加えて、ヘアメイクやまつ毛エクステ、まつ毛パーマなどのさまざまなサービスを通して、お客様を美しくすることが仕事です。

美容師の仕事内容には、カミソリによるシェービングが含まれていません。
ただし、厚生労働省の通達により、メイクに関わる軽いシェービングを行うこと(例 眉毛を整える等)は化粧の一部として認められています。

また美容師は、結婚式や成人式などでヘアメイクを行う際に、着付けの提供を求められることも。
幅広い技術や知識が求められる職業といえるでしょう。
なお、着付けサービスの提供に関して必須の資格はありません。

【参考】美容師法 e-Gov

【参考】厚生省通達 理容師法の運用に関する件

理容師の仕事内容

理容師法によると、美容師の仕事内容は“頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること”。

髪の毛のカットやシャンプー、カラーやパーマ、顔剃りや髭剃り(シェービング)などのサービスを通して、お客様の髪や顔を整えることが仕事です。

理容師は、美容師が行えるまつ毛エクステやまつ毛パーマなどアイリストの仕事を行うことはできません。

【参考】理容師法 e-Gov

美容師と理容師の違い2.資格・国家試験の内容

美容師になるには美容師国家試験、理容師になるには理容師国家試験への合格が必須です。
どちらも筆記試験と実技試験で構成されています。
筆記試験の内容は関係法令や保健、技術理論、衛生管理、物理化学など、共通している科目も多いですが、実技試験の内容が異なります(後述)。

筆記試験と実技試験の片方が不合格だった場合、合格できた方の試験は次回受験時のみ受験免除となります。
なお、美容師国家試験の合格率は約68.3%、理容師国家試験の合格率は約70.5%です。

※令和2年度および令和元年度の試験3回分の合格率より平均を算出
受験者数は、美容師国家試験が毎年24000人ほどなのに対し、理容師国家試験が2000人ほどと、大きく差が開いています。

【参考】過去の試験実施状況 理容師美容師試験研修センター

美容師の資格・国家試験の内容

美容師養成施設で2年以上(通信課程の場合は3年)修学し、必要な学科を修めた者は美容師国家試験の受験資格を得られます。
実技試験は、『カッティング』と『セッティング』の2つの課題に分かれています。
カッティングは、レイヤーカットに関するスタイル構成や技術、留意事項や作業上のポイントなどを見られる課題です。

セッティングは年によって頭に60本のロッドを巻く『ワインディング』と、頭髪にウェーブをかける『オールウェーブセッティング』のどちらかの課題が出されます。

理容師の資格・国家試験の内容

理容師養成施設で2年以上(通信課程の場合は3年)修学し、必要な学科を修めた者は理容師国家試験の受験資格を得られます。
実技試験では『カッティング』に加え、顔のムダ毛や髭を剃る『シェービング』、そして『整髪』の課題が出されます。

整髪は、カッティングやシェービングを終えた後にヘアワックスなどで容姿を整えるサービスです。
チェックされる項目としては、例えばシェービングでは「正しい技法で剃っているか」「顔に泡が残っていないか」などの項目が見られます。

美容師と理容師の違い3.年収

2020年3月31日に厚生労働省より発表された『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、美容師・理容師の年収※は311万4000円で、前年度より増加していることがわかりました。
※月給25万5100円および年間賞与その他特別給与額5万2800円より算出

【参考】賃金構造基本統計調査 e-Stat

なお、美容師と理容師それぞれの調査データはありませんでした。
美容師に対して資格所有者の数が少ないため、理容師の需要の方が高いことが推測されますが、年収や待遇の差はほとんどないようです。

美容師と理容師の違い4.働ける場所

各国家試験の合格後、免許を取得できたら、一般的に美容師は『美容所』で、理容師は『理容所』でそれぞれ働きます。

従来、美容師は美容所でのみ、理容師は理容所のみ働けることが定められていましたが、2016年からは、スタッフ全員が両免許を保有している場合のみ、1つのサロンで両方のサービスを提供すること(重複開設)が認められました。

【参考】理容師法施行規則及び美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について

美容師の働ける場所

美容師は美容室のほかにも、アイラッシュサロンやヘッドスパサロンなどで働く選択肢があります。
結婚式場や撮影スタジオのヘアメイクスタッフや、雑誌やテレビ、ファッションショーのメイクアップアーティストとして働く道もあるでしょう。
また、着付けやネイル、エステやハンドマッサージなどの技術を身につけることで、美容に関わる幅広い職業に就くことができます。

理容師の働ける場所

理容師は理容室のほかに、ヘッドスパサロンやシェービング専門サロンなどで働く選択肢があります。
一括りにシェービング専門サロンといっても、レディースシェービングやブライダルシェービングに特化し、顔そり以外に、手の甲やうなじなどのムダ毛を剃るサービスを提供しているサロンも存在しています。

また、研修を受講・終了することでケア理容師に認定されれば、外出が難しい高齢者や障がい者の方などを対象に、特性や身体状況に応じて訪問利用サービスを提供することが可能です。
ケア理容師は、高齢化社会の日本でニーズが高まっていく職業として注目されています。

美容師と理容師のダブルライセンス

昔よりもボーダーレスな活躍が求められるようになった美容師と理容師。
ここまでで美容師と理容師の違いについてお伝えしてきましたが、どちらの資格を取得するか迷った場合は、ダブルライセンス(両免許を取得すること)を検討されてみてもよいかもしれません。

2018年の制度改正以前は、美容師養成施設と理容師養成施設の2つの学校に2年ずつ、計4年通って各免許を取得する必要がありました。
現在は、美容師養成施設に理容習得者課程が、理容師養成施設に美容習得者課程が設置されたため、1つの学校で両資格を取得できるようになっています。

すべての学校で対応しているわけではありませんが、『ダブルライセンス科』などの学科やカリキュラムが用意されている施設を選ぶことで、資格取得までの時間と費用を抑えることが可能です。
両資格の保有メリットとしては、就職時や転職時に有利になる、トータルビューティーを提案できお客様満足度がアップするなどが挙げられます。

まとめ

美容師であっても理容師であっても、今後お客様から求められるニーズはますます多様化・高度化していくことが予想されます。
トータルビューティーのサポートができるよう、需要やトレンドに合わせてスキルアップしていく姿勢が必要です。
あらゆる技術や知識に精通していることで、活躍の場が広がり、自身のキャリアプランやライフプランに合わせた選択ができるようになるでしょう。

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