出張美容師という仕事をご存知でしょうか?
美容師の仕事は法律で原則として美容室、理容室以外について、サービスすることは禁止されています。
美容師法
(美容所以外の場所における営業の禁止)
第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。
このような規制の理由としては、美容室、理容室は開設時に衛生面での基準をクリアしなければならないので、他の場所だと衛生面での基準が担保されないことにあります。
しかし、この原則から外れて、お客様宅や施設に出張し、美容師の仕事ができるいくつかの例外が決められています。
この記事では、出張して美容師の仕事を行うことができる『出張美容師』の仕事について紹介していきます。
出張美容師とは?
『出張美容師』とは、病気のため療養している方、妊娠や出産を控えており外出を控えている方、高齢のため外出を控えている方など、事情があって美容室へ来られないお客様の家や施設へ伺い、サービスを提供する美容師のことを言います。
『福祉理美容師』と呼ばれることもあります。
これから高齢化が深刻化していくと言われている為、出張美容師は需要が高くなっていくと言われています。
これから、社会から求められる美容師の働き方の1つとして近年注目を集めています。
出張美容師に関する資格
出張美容師になるためには、一般的なサロンワークの知識以外にも、対象となるお客様の特徴や最低限の医学的な知識を身につけておく必要があります。
資格制度が設けられているものもあり、希望する方は知識を体系的に学べる環境も整ってきています。
・NPO全国介護理容福祉協会認定福祉理容師
・日本美容福祉学会認定福祉美容師
・訪問福祉理美容師とは
・介護職員初任者研修資格
・介護福祉士実務者研修資格
上記のような資格は、病気や障害を持っている方に対して、どのようにサービスを提供すれば良いのかなど知っておくべき知識を学ぶことが可能です。
福祉理美容師の資格について
ここでは、例として、一般社団法人日本訪問福祉理美容協会の発行する資格制度について紹介します。
訪問福祉理美容師とは
「訪問福祉理美容師」とは、国家試験に合格した理容師・美容師がお年寄りや身体が不自由で寝たきりの方、車いすで生活されている障害者の方、老人福祉施設や療養施設に入所されている方、在宅で病気療養中の方、その他諸事情などで美容室に行くことが困難な方々のご自宅や施設へ訪問して、健常者や若年層と同様に安全で快適な美容を施せる技術、基本知識を有することを一般社団法人日本訪問福祉理美容協会(JVBWA)が証明する認定資格です。
受験資格については、理容師免許・美容師免許を取得していれば受講可能です。
高齢化が進展する中で、美容業界も同様にシニア年齢層の利用者が年々増加傾向にあります。
そのような状況下で、介護福祉の基本知識を兼ね備える「訪問福祉理美容師」は、今後ますます需要が高まることが予想されています。
美容師の新しいキャリア形成の1つに、出張美容・福祉美容を検討する方もおられるようです。
福祉以外の出張美容
福祉関係以外にも、美容師が出張してサロン外で仕事を行うこともあります。
ただし、冒頭にあげたように誰でも出張サービスをできるわけではありません。
先に上げた介護や福祉を目的とする場合以外の出張サービスについて解説します。
離島や山間部など理美容室がない場合
離島や山間部など、地域にサロンがない場合、出張サービスが認められています。
結婚式などイベント用のヘアメイク
結婚式などのイベント用のヘアメイクに関しては、そのイベントの直前にのみ出張サービスが可能です。
役者の控室
舞台に出演する役者さんやテレビ出演するタレントさんなどに対しては、出演の直前に控室でおこなう理美容サービスが認められています。
このようなケースでは出張を認められています。
開業に必要な届出
出張美容師として事業を展開する場合は、開業に必要な届出を提出しなければいけません。
開業に必要な書類は自治体や都道府県によって異りますが、例えば大阪で出張美容師をする場合は、下記の条件が定められています。
・施術者は理容師又は美容師の資格を有していること
・消毒器具・消毒薬品を携行すること
・器具類の消毒、作業環境の清潔保持、従業者の健康管理など、衛生に関する措置を行うこと
上記のようなルールに関しても、自治体や都道府県によって異なるので、注意が必要になります。
出張美容師の必要性は今後も高まる
本記事では、出張美容師の詳細やメリット・デメリット、開業する際のポイントについて徹底解説していきました。
出張美容師は人数が少なく将来必要とされる職種とも言われているので、新しいキャリア形成の1つとして、本記事の内容を参考にしてみてください。