近年、美容業界では「業務委託」という働き方が注目されていることをご存じですか?
アイリストも業務委託という形態で働ける仕事のひとつで、特にアイリストとしてすでにある程度の経験を積んだ方や、これからキャリアを築きたいと考えている方の間で、この働き方に関心を持つ方が増えています。
業務委託とは、サロンと直接雇用関係を持たず、フリーランスとして個人で契約を結ぶスタイルです。
「自分のペースで働きたい」「収入アップを目指したい」という方にとっては、自由度が高い魅力的な選択肢と言えるでしょう。
一方で、「業務委託って実際どうなの?」「自分にも向いているのか知りたい」という疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アイリストが業務委託で働く場合の収入や働く場所、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
そもそも「業務委託」とは?
業務委託とは、サロンや企業と「雇用契約」を結ばず、個人事業主として「業務委託契約」を交わして勤務する働き方です。
技術やサービスを提供し、その成果に応じて報酬を得ます。
報酬はアルバイトや正社員と異なり、時給制や月給制などの固定の金額ではなく「完全歩合制」で支払われます。
施術を行った分だけ収入が増えるため、自分の努力次第で収入アップを目指せるのがポイント。
また、勤務時間や仕事内容を自由に決められる点も特徴です。
業務委託での働き方が向いている人の特徴
業務委託の最大の特徴は、働き方の自由度が高いことです。
- 自分でスケジュールを決めたい人
- 頑張った分だけ稼ぎたい人
- マイペースに仕事を進めたい人
- 自己管理や柔軟な対応が得意な人
- 技術力や集客力が高い人
は業務委託という働き方に向いているでしょう。一方で、
- 指示を受けたほうが働きやすい人
- 安定した収入がほしい人
- 仕事を始めたての人
には、業務委託は適していないかもしれません。
関連記事:アイリストに向いている人ってどんな人?成功するための秘訣も解説!
業務委託で働くアイリストの特徴
アイリストが業務委託契約で働く場合、特定のサロンや企業に所属せず、個人として仕事を請け負います。
業務委託アイリストが働く場所
オーナーとして自分のサロンを開業するわけではないため、美容室やアイラッシュサロンなどと契約を結び、そのサロンで他のスタッフと同じようにお客様への施術を行います。
テナント家賃や水道光熱費の支払い、薬剤や備品の準備、集客などはサロンが行います。
一方で、「シェアサロン」や「面貸しサロン」などの場所で働く選択肢もあります。
シェアサロンとは、美容施術を行うための設備や備品が整ったスペースを、有料で借りられるサービスのこと。
一方で面貸しサロンとは、営業中の美容サロンが空席や空いているスペースをアイリストなどの技術者に貸し出す仕組みのことです。
どちらも場所をレンタルする形で、そのサロンのお客様ではなく自分で集客したお客様に技術を提供するスタイルとなります。
ひとりで仕事をすることの多い業務委託のアイリストにとっては、同業者とのネットワーク作りの場としても利用されています。
利用料金は、月額制・時間貸し制・売上に応じた歩合制など、運営するサロンによって異なります。
面貸しの場合は数か月単位の契約が主流です。
業務委託アイリストの収入
業務委託で働くアイリストの収入は、固定給を設けている業務委託サロンも少数ながら存在するものの、主に「完全歩合制」によって決まります。
この報酬体系では、売上の40〜50%が還元されるケースが一般的で、契約するサロンによっては指名料が加わると還元率が60%に達することもあります。
シェアサロンや面貸しサロンを利用する場合は、レンタル料や設備の利用料はかかりますが売上のほぼすべてが自分の収入となるケースが多いため、還元率はさらに高くなります。
つまり、施術したお客様の数や客単価に比例して収入がアップするということ。
ただし、フリーランスは社会保険料や税金の支払いは自己負担となり、かつ雇用されている場合のように交通費や時間外手当などの各種手当は支給されないため、実際の手取り額には注意が必要です。
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アイリストが業務委託で働くメリット
業務委託の働き方は、アイリストにとって自由度が高く、自分らしい働き方を実現するための魅力がたくさんあります。
ここからは、具体的なメリットを紹介します。
働く時間が自由
業務委託で働くアイリストの大きな特徴のひとつに、「働く時間の自由度が高い」という点があります。
自分自身でスケジュールを決められるため、プライベートの用事や趣味、家庭の事情や体調に合わせて働く時間を調整できます。
「この日は予定があるから休みたい」「空いた時間を効率よく活用したい」といった希望を反映しやすく、正社員やアルバイトのような固定シフト制とは異なり、自由度が非常に高いです。
家事や育児を優先しながら働きたい人や、趣味や副業などに時間を割きたい人にとっても理想的で、ワークライフバランスを保ちやすいでしょう。
また正社員の場合、営業時間中は店舗にいなければならないのが一般的ですが、業務委託ではフルタイム勤務が必須ではないので予約が入っている時間のみ働けば問題ありません。
短時間勤務や週数日の勤務でも収入を得ることが可能で、施術がない時間を自由に使えるため、効率的に時間を活用できます。
好きな場所で働ける
時間だけでなく、働く場所の自由度も高いです。
業務委託では1ヶ所のサロンに限定されることなく、複数のサロンと契約することができます。
自分のライフスタイルやお客様に合わせてサロンを選び、「いいとこどり」をすることができるため、より効率的に働けます。
サロンごとの特色や利便性(立地・営業時間・歩合率など)を活かし、お客様のニーズに合わせた働き方が可能です。
例えば、平日は都心のAサロンで施術し、週末には郊外のBサロンで施術を行うなど、個々のお客様に最適な場所でサービスを提供できます。
また、異なる場所で定期的に施術を行うことで、遠方に住むお客様にも対応できるため、新たなお客様の獲得やリピーターの確保にもつながります。
正社員以上に稼げる可能性がある
先述のとおり、業務委託は歩合制で施術数が多ければ多いほど報酬が増えるため、自分の努力やスキル次第では正社員やアルバイト以上に稼ぐことも可能です。
例えば施術単価が6,000円で歩合が50%の場合、1日5件の施術を22日間行うと、月収は以下のようになります。
6,000円 × 50% × 5件 × 22日 = 330,000円
一方、雇用契約で働くアイリストの月収は、固定給20万+インセンティブ10%だと過程すると、以下の通りです。
200,000円 + 6,000円 × 10% × 5件 × 22日 = 266,000円
このように、同じ施術数でも業務委託アイリストの方が月収が高くなる場合があります。
施術の単価や指名数が増えれば、更に収入アップが期待できるでしょう。
施術にかける時間を短縮し、効率よく多くの施術をこなすことができれば、時給3,000円を超えることも珍しくありません。
アイリストの仕事に集中できる
業務委託で働くアイリストは、サロンの雇用関係に縛られることなく、施術に集中できる環境が整っています。
例えば、正社員やアルバイトとしてサロンで働く場合、電話応対や掃除、備品管理などの雑務をこなす必要があります。
しかし、業務委託では基本的に、サロンの運営に関連する業務は契約に含まれません。
開店準備や閉店後の後片付け、さらには練習会や懇親会への参加義務も基本的にありません。
契約書に明記されていない業務については対応する必要がなく、施術に関係ない仕事をする時間が減ります。
また、雇用契約を結んでいると、同僚や上司との関係で悩むこともありますが、業務委託ならサロン内での人間関係に悩むことは少なくなります。
アイリストとしての仕事に専念でき、精神的にも仕事に集中しやすくなるので、安定したパフォーマンスを発揮しやすい環境です。
空いている時間を自分のスキル向上や練習に使うことができるため、より効率的に成長できるでしょう。
低リスクで独立できる
自分のサロンを開業するよりも、業務委託という形から低リスクで独立できます。
開業する場合は店舗の取得や設備の整備、スタッフの雇用など、膨大な初期費用と手間がかかります。
これに対し、業務委託はすでに設備が整っているサロンで働くことができます。
シェアサロンや面貸しサロンの利用料金には、水道光熱費や家賃などの固定費も含まれているので安心です。
店舗を所有して独立開業する場合、万が一うまくいかないと、サロンの設備や借金などが残るためリスクが大きいです。
しかし、業務委託であればサロンの利用者として契約するだけで済むため、万が一事業がうまくいかなくなった場合でも契約を辞めるだけでOK。
損失を最小限に抑えることができ、もしもフリーランスとしての働き方が自分に合わないと感じた場合でも、再び雇用される形に戻ることが容易です。
アイリストが業務委託で働くデメリット
業務委託で働くアイリストにはメリットがある一方で、注意すべき課題やリスクも存在します。
最後に、具体的なデメリットを解説します。
収入が不安定
業務委託で働くアイリストにとって、収入の不安定さは大きな課題となることがあります。
正社員やアルバイトの場合は固定給が支給され、売上に関わらず一定の収入が得られます。
一方で業務委託の場合、歩合制で働くため月々の収入が常に一定ではなく、売上や施術数に応じて変動します。
繁忙期には高収入を得られる場合もありますが、その状態が継続する保証はありません。
特に、休暇や急病、家庭の事情で働けない日が多い月には収入が減少するリスクもあります。
また、先述の通り業務委託で働くアイリストは個人事業主となり、税金や保険料を自己負担で支払う必要があります。
収入額が同じでも、業務委託は雇用契約に比べて税額や保険料が高くなるため、手取りが少なくなってしまう場合も。
そのため、月々の収入が安定しない場合、業務委託よりも雇用契約のほうが安心できるかもしれません。
対策として、安定して集客できるサロンを選ぶことや、SNSを活用した集客活動を積極的に行うことが重要です。
顧客の信頼を得ることで、リピーターを増やし、定期的な施術を確保することが収入の安定に繋がります。
さらに、一定のスキルを身に付けてから業務委託に移行することで、未経験者よりも安定して働ける可能性が高くなります。
なお、業務委託で働くアイリストは仕事に関連する出費(交通費、食事代、衣服代など)を経費として差し引けるメリットを活用することで、実質的な収入を増やすことも可能です。
福利厚生がない
業務委託として働くアイリストは、サロンが提供する従業員向けの福利厚生(育児休暇、通勤手当、健康診断など)を基本的に受けることができません。
特に妊娠・出産や子育てなど、ライフステージの変化に備えるための貯金や保障を事前に確保しておき、無理なく仕事を続けられる体制を整えておく必要があるでしょう。
求人によっては、「業務委託でも交通費支給」「給与保証」という特典が設けられていることもありますが、全てのサロンがそのような条件を提供しているわけではありません。
求人内容を比較検討して、自分に合った働き方やサロンを選ぶことが求められます。
また、健康保険や年金などの社会保障を自分で管理する必要があり、その費用は自己負担です。
毎月一定の額が保険料として差し引かれるため、これを考慮に入れた上で、生活設計を立てる必要があります。
契約上のトラブルが起こる可能性がある
業務委託として働くアイリストは、サロン側との契約内容が明確でない場合や、認識の違いによってトラブルが発生することがあります。
例えば、業務委託契約では勤務時間や仕事内容の拘束を受けないのが原則です。
しかし、実際にはサロン側が「勤務時間を指定する」「仕事内容を細かく指示する」といったケースが見受けられます。
また、正社員に比べて契約が突然破棄されるリスクが高いです。
サロン側は施術スキルや集客能力を評価して契約を結んでいるため、これらの期待を満たせない場合、契約解除の可能性が高まります。
サロン側の経営状況の悪化による契約終了もあり得るでしょう。
このようなトラブルを防ぐためには、契約書の内容をしっかり確認して不明点や疑問点を解消し、双方が納得した上で業務を開始することが重要です。
契約内容が口頭だけの確認だった場合、「言った・言わない」の問題が発生しやすく、トラブル解決に時間と労力を要することがあります。
「勤務時間」「業務範囲」「報酬形態」に加え、「契約期間」「自動更新の有無」「解約時の手続きや条件」などが書面上に明確に記載されているかを確認しましょう。
自分でやるべきことが増える
業務委託で働くアイリストは、施術以外にもさまざまな業務を自分で行わなければなりません。
例えば、売上や経費の管理、確定申告といった会計業務、予約管理やスケジュール調整といった事務作業などが挙げられます。
また、サロンによっては業務で使用する備品や商材を自分で仕入れる必要がある場合も。
個人で仕入れると注文量が少ないため、単価が高くなることが多いです。
シェアサロンや面貸しの場合、集客も自分で行います。
既に固定の顧客がいる場合は比較的スムーズに運営できますが、新規で集客する場合はSNSやブログでの発信、美容関連サイトでの宣伝など、地道な努力が求められるでしょう。
自分でやるべきことが増える働き方には負担が伴いますが、その分自由度や成長のチャンスも大きいです。
上記のような業務を管理するなかで、経営スキルが身につき、将来的に独立したサロン経営への道が開ける可能性も◎
まとめ
アイリストの業務委託としての働き方には、頑張り次第で高収入を得られることや、働き方の自由度が高いといった魅力があります。
一方で、雇用契約でないことによる不安定さや、福利厚生が受けられないなどのデメリットも存在します。
自分が働き方において重視するポイントを見極め、求人情報を複数比較した上で、長期的に無理なく続けられる環境を慎重に選ぶことが重要です。
ライフスタイルや将来のビジョンに合わせて、最適な働き方を考えてみましょう。
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