理容師免許を取得する方法は?国家試験の内容から理容師の就職先まで徹底解説

理容師として働くためには、国家資格である「理容師免許」が必要です。

そして、試験に合格するためには多くの専門知識を学ぶ必要があり、受験資格も定められています。

 

本記事では、理容師免許の内容や取得するための具体的なステップ、試験内容などについて詳しく解説。

記事後半ではよくある質問にも回答しています。

 

理容師を目指している方、美容師免許と理容師免許のどちらを取るか迷っている方、理美容業界で働きたい方はぜひ最後までご覧ください。

 

理容師免許とは?基礎知識を解説

理容師免許は厚生労働省が管轄する国家資格で、理容業を営むために必須の免許です。
理容業とは、刃物を使用して顔や髪を整える行為を指し、具体的にはカミソリを用いたシェービング(顔剃り)や頭髪の刈り込みなどの理容サービスが挙げられます。

 

理容師免許がないとできないこと

 

理容師免許がないと以下の業務を行うことができず、理容師としての就職・転職や開業はできません。

 

  • カット
  • カラー
  • パーマ
  • シェービング(顔剃り)
  • スタイリング(整髪)

 

無資格でこれらを行うと、法律違反となり罰則が科されるため、資格の取得が必要不可欠です。

 

関連記事:美容師免許がないとできないこと一覧!免許なしでできることや罰則についても解説

 

美容師免許との違い

 

理容師と美容師は混同されがちですが、それぞれの免許には明確な違いがあります。

 

理容師は主に「整髪と顔剃り」を行い、短髪のカットやシェービングが中心です。

一方、美容師は「髪のデザインやパーマ、メイク」が主な業務であり、女性向けの施術が多くなります。

 

理容師は美容師免許を持つ美容師と違い、まつ毛エクステやまつ毛パーマといったアイリスト業務、ヘアセット、メイクなどは行えません。

理容師は「容姿を整える仕事」、美容師は「容姿を美しくする仕事」と定義が異なることを覚えておきましょう。

 

理容師の強みは、カミソリを扱うことができる点。

最近は男性客だけでなく、女性客のお顔剃りやブライダルシェービングを行う理容室も増えています。

「エステサロンより安い」と理容室を利用する方が増えているようです。

 

関連記事:美容師と理容師の違いとは?仕事内容や資格、年収、活躍の場などを比較解説

 

理容師免許を取得する3つのステップ

理容師免許を取得するためには、理容師国家試験に合格する必要があります。

 

理容師国家試験を受験するためには、厚生労働大臣または知事が認可している理容師養成施設を卒業する必要があります。

 

理容師養成施設への入学資格は、原則的に高卒以上です。

ただし、一部の学校では、中卒者であっても試験に合格すれば入所が認められる場合もあります。

 

1.理容師養成施設に通う

 

理容師になるには、まず全国に200以上ある理容師養成施設(理容学校・専門学校)に通う必要があります。

養成施設での学習は、大きく通学と通信教育に分かれます。

 

通学(昼間課程・夜間課程)なら2年以上、通信課程なら3年以上の修業期間が必要です。

すでに美容師免許を持っている方は、修得者課程を設置している養成施設に入学すると、履修科目を大幅に減免してもらえます。

修得者課程で必要な修業期間は、昼間・夜間課程で1年以上、通信課程で1年半以上と通常の半分です。

 

通学(昼間課程・夜間課程)の場合、ほとんどが4月入学(一部は秋入学)となり、入学の約半年前となる10月頃から願書受付がスタートします。

通信課程の入学募集は4月と10月の年2回が多く、募集期間は養成施設によって異なります。

 

気になる養成施設に資料請求や問い合わせを行い、オープンキャンパスや学校見学に行くと雰囲気を掴めるでしょう。

 

2.理容師国家試験を受験する

 

理容師養成施設を卒業後は、理容師国家試験を受験します。

試験は国ではなく、公益財団法人「理容師美容師試験研修センター」が実施しています。

受験願書を取り寄せ、提出書類を簡易書留で郵送すれば受験できます。

 

試験は年2回で、筆記試験(2月/8月)と実技試験(3月/9月)の2部構成。

別日程・別会場で、一部都道府県を除く全国数箇所の会場(美容専門学校や大学など)で実施されます。

理容師免許を取得するためには、筆記と実技の両方の試験に合格する必要がありますが、片方のみに合格した場合、申請すれば次回の試験で該当の受験を免除してもらえます。

 

理容師国家試験の合格率は70%〜80%程度と比較的高めですが、しっかりとした対策が必要です。

参照:過去の試験実施状況 – 公益社団法人 理容師美容師試験研修センター

 

3.免許の申請・登録を行う

 

試験結果は合格発表日に郵送され、かつホームページでも確認可能です。

 

理容師国家試験に合格しただけでは、まだ免許証は交付されません。

試験合格後に理容師免許の申請手続きを行い、理容師名簿に個人情報が登録されれば無事免許が交付され、理容師として活動できます。

免許の申請を忘れたまま理容の仕事をすると「無免許営業」とみなされ、30万円以下の罰金が科せられるため注意してください。

 

免許は一度取得すれば有効期限はありません。

ただし、取得後に本籍地の都道府県名、氏名、性別が変更になった場合は、30日以内に変更手続きが必要です。

また、免許証を失くしたり、破損したりした場合、免許証の再交付を申請しましょう。

 

理容師国家試験の内容

理容師国家試験は先述のとおり、筆記試験(学科試験)と実技試験の2つの試験で構成されています。

試験内容や合格基準は下記のとおりで、バランスよく勉強する必要があります。

 

筆記試験 実技試験
試験内容 運営管理、関係法規・制度、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造および機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論、理容技術理論 【衛生上の取扱試験】

身だしなみ、手指や用具の消毒状況、用具の取り扱いなど

【基礎的技術試験】

①カッティング(基礎刈、仕上げ刈、セニングカット)

②シェービング

③整髪

その他:毛払いや顔面処置など

合格基準 ・55問中、33問以上正解(正答率60%以上)

・いずれの科目においても無得点がない

・衛生上の取扱試験において減点が20点以下

・基礎的技術試験の減点が40点以下、かつ①〜③すべての減点の合計が30点以下

 

試験を実施している公益財団法人 理容師美容師試験研修センターのホームページでは、筆記試験の過去問が無料で公開されています。

まずは、過去問をひと通り解いてみましょう。

参考:過去の筆記試験問題 – 公益社団法人 理容師美容師試験研修センター

 

過去問で基礎的な考えを理解できたら、テキストや問題集を購入し、応用問題や最新の内容を学びましょう。

 

実技試験対策としては、練習量が命。

採点基準を把握したうえで、繰り返し練習します。

本番を意識してタイムを計りながら練習したり、先生や先輩にアドバイスをもらったりしながら対策しましょう。

 

試験の合格者数や免許取得者は何人?

 

理容師国家試験の合格者数および理容師免許の登録件数は以下のとおりです。

 

年度 合格者数 新規免許登録件数
令和5年度 1,720人 1,515件
令和4年度 1,597人 1,472件
令和3年度 1,578人 1,415件
令和2年度 1,605人 1,511件
令和元年度 1,504人 1,394件

 

参照:過去の試験実施状況 – 公益社団法人 理容師美容師試験研修センター

参照:新規免許登録件数 – 公益社団法人 理容師美容師試験研修センター

 

理容師免許を取得したあとの就職先

理容師は理容所(理容室やシェービングサロンなど)で働くことができます。

 

なお、スタッフ全員が理容師免許と美容師免許の両方を保有している場合は、1つのサロンで両方のサービスを提供できます。

 

理容室

 

ひと言で「理容室」といっても種類はさまざまです。

 

理容室に就職後、1〜3年はアシスタントとして働き、一人前になったら理容師としてデビューする流れが一般的です。

 

  • 地域密着型の個人サロン
  • スピード重視の千円カット
  • 複数店舗を展開する高級理容室
  • メンズのトータルビューティーサロン など

 

サロンコンセプトやメニュー、料金形態、立地、店舗や社員数の規模感、個人orチェーンorフランチャイズといった企業形態などの違いによって、職場環境はガラリと変わります。

いっしょに働くスタッフやサロンの雰囲気、客層、労働条件などをチェックして、自分に合う就職先を探しましょう。

 

シェービング専門サロン

 

シェービングを専門としているサロンも存在します。

 

サロンによっては顏剃りや髭剃りはもちろん、うなじや背中、手の甲のムダ毛シェービングを行うケースも。

また、女性専門シェービング店やブライダルシェービング店などもあります。

頭皮マッサージやデコルテケアなどの技術が求められるでしょう。

 

お客様の自宅や福祉施設

 

少子高齢化が進む日本では昨今、外出が難しい高齢者や障がい者の方などを対象にした理容サービスの需要が高まっています。

身体状況や特性により理容室へ足を運べない方のご自宅や施設(高齢者施設や障がい者施設)に訪問し、サービスを提供します。

 

上記のサービスを提供する場合、理容師の免許に加え、「ケア理容師」として専門知識や技術を修得する必要があります。

理容室に来店する高齢者や障がい者へのサービス、または在宅・施設での訪問理容サービスに焦点を絞り、そのために必要とされる学習内容で構成した「理容師のためのオリジナル研修」を修了すると、「ケア理容師」の修了証と店舗表示用マークが交付されます。

 

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理容師免許に関してよくある質問

Q.理容師免許の取得までに何年かかる?

A.

最短ルートは、全日制の理容専門学校(通学の昼間課程)に2年間通い、その後すぐに国家試験を受験することです。

通信課程の場合、通学よりも修業期間が長くなるため、3〜4年かかる場合もあります。

 

Q.理容師免許を取得するまでにかかる費用はいくらくらい?

A.

理容専門学校の学費は、昼間課程で約200万〜300万円、通信課程で約100万〜150万円が一般的。

加えて、理容師国家試験の受験にかかる費用が25,000円(筆記試験または実技試験の片方のみ受験は12,500円)です。

また、理容師免許の申請には登録免許税9,000円、登録事務手数料5,200円がかかります。

その他、ウィッグやシザーズ、コームやブラシ、タオルなどの用具類も用意する必要があるため、それらの購入費も発生します。

 

Q.理容師免許は働きながらでも取れる?

A.

昼間課程ではなく、夕方以降(18:00〜21:30が目安)に学校に通う夜間課程や、一部の実技授業を除いてテキストを使った自宅学習で進められる通信課程で学べば、働きながらでも免許取得を目指せます。

ただし、昼間課程と比べて選べるコースが少ない場合があるため、希望する養成施設に自分の学びたい分野があるか事前確認が必要です。

 

まとめ

理容師免許を取得するには、指定の専門学校で学び、卒業後に国家試験に合格し、免許を申請するという3つのステップが必要になります。

取得には2〜4年の期間と、200万円前後の費用がかかりますが、理容業界で活躍するためには不可欠な資格です。

 

まずは、理容専門学校の資料を取り寄せ、自分に合った学習方法を検討することからスタートを。

国家試験は年に2回のみですので、計画的にスケジュールを組み、合格に向けて知識と技術を習得しましょう。

理容師免許の取得をゴールにせず、プロの理容師として活躍できる未来を目指してみてくださいね。

 

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