「理容師」と聞くと、男性の職業というイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし近年、女性理容師の活躍が増え、理容業界における新たなトレンドとなっていることをご存知でしょうか?
女性ならではの細やかな気配りや技術が求められる場面が増え、特に女性向けシェービングやエステを提供するサロンが注目されています。
女性理容師は、男性客だけでなく女性客にも寄り添える存在として需要が高まりつつあるのです。
本記事では、女性理容師の仕事内容や年収、成功のポイントについて詳しく解説します。
理容師の男女比はほぼ同じ

令和3年度の調査によると、理容業の従業員者数における男女比は男性:女性=56:44となっており、理容師の半数弱が女性であることが分かっています。
一方、美容業の従業員者数における男女比は男性:女性=29:71と、美容師の7割以上が女性です。
分類 | 従業員数の合計 | 男性 | 女性 |
理容業 | 168,442人 | 94,403人 | 73,919人 |
美容業 | 408,707人 | 117,108人 | 290,508人 |
美容師に比べると理容師の女性比率が少ないことから、「理容師といえば男性」というイメージが強いのかもしれません。
出典:令和3年経済センサス-活動調査 事業所に関する集計 総務省
女性理容師として活躍するメリット
女性理容師として活躍するメリットは以下の通りです。
職場が多様化している
従来の理容室だけでなく、ブライダルシェービングサロン、ヘッドスパ専門店、高級メンズグルーミングサロンなど、女性理容師が働ける環境が増えています。
また、美容業界との相性が良い点も特徴のひとつ。
女性向けのスキンケアやヘッドスパなどのメニューを取り入れることで、活躍の場を広げられます。
女性客からの需要が高い
女性客はシェービングやフェイシャルケアを受ける際、男性理容師よりも女性理容師を選ぶ傾向があります。
特にブライダルシェービングやエステを組み合わせた施術では、女性理容師が求められやすいです。
細やかな気配りが強みになる
女性ならではの視点で、お客様のニーズに寄り添ったサービスを提供できます。
特に、スキンケアのアドバイスやリラックスできる接客など、細やかな気配りが求められるシーンで重宝されるでしょう。
独立・開業しやすい
理容師になるためには「理容師免許」が必要です。
理容師養成施設を卒業後、理容師国家試験を受験して合格すれば取得できます。
免許取得後に理容室へ就職して経験を積み、その後女性専用のシェービングサロンやプライベートサロンを開業するケースが増えています。
理容師免許は一度取得すれば有効期限はありません。
「手に職をつけたい」と考えている人に最適な、一生ものの資格だと言えるでしょう。
関連記事:理容師免許を取得する方法は?国家試験の内容から理容師の就職先まで徹底解説
柔軟な働き方ができる
女性は男性に比べて結婚、出産、育児などのライフイベントによって働き方が左右されやすいです。
理容師は小規模サロンの開業や個人での出張サービスなど、比較的柔軟な働き方が可能なので、プライベートと両立しやすいでしょう。
女性理容師として働くうえでのデメリット
一方で、次のようなデメリットも考えられます。
体力的な負担が大きい
理容の仕事は長時間の立ち仕事が基本です。
カットやシェービングはもちろん、ヘッドスパやフェイシャルなどの施術もあるため、一定の体力が求められます。
慣れや努力が必要
理容師はバリカンやシェーバーなど、普段女性があまり使わない道具を使って仕事を行います。
また、例えばメンズフェードカットなど、デザインも馴染みのないものが多く男性理容師よりも勉強の必要があるかもしれません。
男性中心の職場環境が多い
理容業界は美容業界よりも男性の比率が高く、職場によっては女性理容師が少数派になることも。
また、個人経営の理容室や小規模サロンでは、産休・育休の制度が十分に整っていない場合もあります。
肩身が狭く感じたり、家庭との両立が難しかったりといった悩みも少なくありません。
職場選びや職場環境への配慮が必要です。
男性客との距離感に気を使う
女性理容師の場合、男性客との距離感に気を配る必要があることも。
特に顔剃りやシャンプーなどの施術時には、適切な接客を心がけることが重要です。
女性理容師の仕事内容

理容師の基本的な仕事には、カット、カラー、パーマに加え、美容師が行えないシェービング(顔剃りや髭剃り)も含まれます。
シェービングは男性向けだけでなく、女性のブライダルシェービングやスキンケアと組み合わせたサービスが人気です。
ただし、美容師が行えるメイクやヘアセット、まつ毛エクステやまつ毛パーマといったアイリストの仕事を行うことはできません。
また、女性理容師ならではの強みを活かした以下のような業務も得意とされています。
レディースシェービング
女性専用のシェービングサービスは、美容意識の高い女性たちに支持されています。
女性理容師ならではの丁寧な施術と安心感が求められます。
- ブライダルシェービング:結婚式前の花嫁向け。顔・襟足・背中などのシェービングを行います。
- エステシェービング:スキンケアと組み合わせた施術で、美肌づくりをサポートします。
プロならではのなめらかな仕上がりを提供しましょう。
アイブロウデザイン(眉デザイン)
近年、男性・女性問わず「眉毛の整え方」に対する関心が高まっています。
ナチュラルな仕上がりからシャープな印象まで幅広いデザインに対応できる人材が求められています。
女性理容師のセンスや細やかな技術を活かし、骨格や顔立ちに合わせた理想の美しい眉デザインを提供しましょう。
関連記事:アイブロウリストとは?仕事内容やなり方、必要なスキル・資格、就職先などを解説
ヘッドスパ
リラクゼーションと頭皮ケアを兼ね備えたヘッドスパは、男女問わず人気のメニューです。特に女性理容師ならではの柔らかいタッチやアロマの知識を活かした施術が強みになります。
具体的には以下のようなの施術があります。
- 頭皮クレンジング:皮脂汚れを落とし、健康な髪の土台を作ります。
- リラクゼーション:マッサージによって血行促進やストレス軽減をサポートします。
- 育毛ケア:髪質改善を目的としたスカルプケアメニューです。
メンズグルーミングサービス
メンズグルーミングとは、スキンケア、ヘアケア、ネイルケア、ムダ毛ケアなどの男性の身だしなみのこと。
近年、男性の美容意識が向上し、グルーミングサービスの需要が高まっています。
女性理容師には美容やファッションの知識が豊富な人が多く、男性客に対しても最新のトレンドを取り入れた提案や丁寧なケアを提供しやすいです。
- フェイシャルエステ:肌質改善やリフレッシュ目的の施術を行います。
- ヒゲデザイン:顔のバランスを考慮した整え方の提案を行います。
- スキンケアアドバイス:肌質に合わせたホームケアの提案を行います。
女性理容師の収入

2020年3月31日に厚生労働省が発表した『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、美容師・理容師※の収入は以下のとおりです。
- 月給:25万5100円
- 年収:311万4000円(月給および年間賞与その他特別給与額5万2800円より算出)
※美容師と理容師それぞれの調査データはなし
また、理容師の収入は他の職業と同じように、経験年数や勤務形態などによっても異なります。
- アシスタント:月給14〜18万円程度、年収170〜220万円程度
- 店長クラス :月給30〜40万円程度、年収400〜550万円程度
- 独立・開業時:年収800万円以上も目指せる
女性理容師が収入をアップするコツ
収入アップを目指すには、以下のような工夫が重要です。
指名客を増やしてリピーターを獲得する
理容業界では、指名客が多いほど収入も安定しやすくなります。
お客様に寄り添った接客を心がけ、満足度を高めることでリピーターを増やすことが可能です。
- 技術力を磨く:基本のカットやシェービング技術はもちろん、トレンドのスタイルやヘッドスパなどの付加価値を提供できる技術を習得します。
- カウンセリングを充実させる:お客様の好みや髪質に合わせた提案を行います。
- 接客の質を向上させる:丁寧な言葉遣いと笑顔を心がけ、安心感を与えます。
- 施術のプラスアルファを提供する:シェービング後のスキンケアアドバイスや、眉デザインの提案などを行います。
- アフターフォローを徹底する:施術後にSNSやLINEでフォローアップし、次回予約につなげます。
SNSやWebを活用して集客を強化する
今やSNSやWebは、理容業界の集客において欠かせません。
特に、InstagramやTikTokは視覚的に技術力を発信できるので、認知度アップにおすすめです。
- ビフォーアフターの写真を投稿する:髪型の変化はもちろん、アイブロウデザインやシェービングなどひと目で効果が分かる写真が有効です。
- 施術の動画をアップする:ヘッドスパやシェービングの施術風景を投稿すると、技術力が伝わりやすいです。
- 口コミを活用する:お客様の声を掲載し、信頼感を高めます。
- ブログで詳しく解説する:シェービングの効果や施術の流れ、こだわりなどを紹介します。
独立・開業を視野に入れる
フリーランスとして歩合制で働いたり、自分のサロンのオーナー兼理容師として活躍したりと、独立・開業によって収入を大きく伸ばせる可能性があります。
特に女性理容師は、女性専用サロンやプライベートサロンとして女性向けメニュー(シェービング+フェイシャルケア、眉カットなど)を充実させると、差別化しやすくなるでしょう。
理容師の独立・開業には以下のようなメリットがあります。
- 施術単価を自由に設定できる
- 自分の得意なメニューに特化できる
- 働き方の自由度が高い(自宅サロン、出張理容など)
もちろん金銭的なリスクもあるため、事前に資金計画や集客戦略を立てることが大切です。
女性理容師におすすめの就職先

女性理容師の活躍の場は従来の理容室だけでなく、女性専用のシェービングサロンや美容と理容を融合させたサロン、高級志向のサービスを提供するサロン、出張理容サービスなど多岐にわたります。
働き方が多様化しており、将来的に独立を目指す場合も、まずは自分のライフスタイルや目標に合った職場を選んでキャリアを築くことが大切です。
最後に、女性理容師が活躍しやすい就職先をいくつかご紹介します。
女性理容師として、スキルを磨きながら長く活躍できる職場を見つけてください。
レディースシェービングサロン
レディースシェービングとは、女性のお客様の顔に生えた細かな産毛を専用カミソリで処理する施術のこと。
女性専用のシェービングサロンでは、フェイシャルケアと組み合わせた施術が人気です。
女性の肌は男性よりも薄くデリケートなため、細やかな技術やスキンケアの知識が求められます。
【おすすめポイント】
- 女性のお客様や女性のスタッフが多く、安心して働ける
- スキンケアや美容知識を活かせる
- リピーターが多く、安定した収入を得やすい
- ひとりひとりのお客様にじっくり対応できる
ブライダルシェービングサロン
ブライダルシェービングサロンとは、結婚式を控えた新婦向けのシェービングを提供するサロンです。
顔や襟足、背中などの処理を行います。
ドレスを美しく着こなすための施術がメインで、肌をより滑らかに見せる技術が重要になります。
特別な日のための施術なので、高単価のサービスとして提供でき、またやりがいも大きいです。
【おすすめポイント】
- 高級志向のサービスで単価が高い
- 美容やブライダル業界とのつながりができる
- 口コミや紹介でお客様が増えやすい
- お客様の大切な節目に立ち会える
アイブロウサロン
アイブロウサロンとは、眉毛の輪郭や形を整えたり、アイブロウメイクをしたりするサロンです。
眉は髪の毛と並んで印象を大きく変える部位。
眉デザインには繊細な技術とセンスが求められます。
【おすすめポイント】
- 男女問わず需要が高まっている
- メンテナンス頻度が高くリピートされやすい
- 細かい作業が得意な方に向いている
ヘッドスパ専門店
ヘッドスパに特化したサロンでは、リラクゼーションを重視した施術を提供します。
ストレス社会の中で癒しを求めるお客様が増えており、需要が高まっています。
【おすすめポイント】
- 単価を上げやすい。
- 美容・健康志向の強いお客様が多い
- 力仕事が少なく、長く働きやすい
高級理容室・メンズグルーミングサロン
メンズ向けの高級理容室では、カットやシェービングだけでなく、スキンケアや眉デザインまでトータルなサービスを提供します。
女性理容師の感性や幅広いスキルが活かせる職場です。
【おすすめポイント】
- 提供メニューの幅が広く、飽きずに働ける
- 高単価のメニューもあり収入が上がりやすい
- 落ち着いた雰囲気の中で働ける
- 施術の幅が広がり、スキルアップしやすい
訪問理容サービス
訪問理容サービスとは、理容師がお客様のいる自宅や介護施設などを訪問して理容サービスを提供する仕事です。
社会貢献度が高く、やりがいがあります。
【おすすめポイント】
- 需要が安定しており、継続的な仕事が得られる
- 高齢者とのコミュニケーションが好きな人に向いている
- フリーランスとしても働きやすい
まとめ

理容業界において、女性理容師の需要はますます高まっています。
細やかな技術や接客力を活かせる仕事であり、独立や開業の選択肢も広がっています。
「手に職をつけたい」「美容や理容に興味がある」という方には、女性理容師という職業は大きな可能性を秘めた魅力的な選択肢です。
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