美容室にはお客様の来店数が減る「閑散期」と、予約が殺到する「繁忙期」が存在します。
クリスマスや卒業・入学といった春夏秋冬の季節のイベントがある時期や休日は来店数が増え、忙しくなりがちです。
一方で、どれだけ人気のある美容室でも安定した来客をキープするのは難しく、一部のサロンを除いて多くの美容室では暇な時期もやってきます。
美容師やサロンオーナーの中には、「◯月の集客がイマイチ」「暇な時期を少なくしたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
閑散期には売上を落とさないためのさまざまな施策を打ち出し、また繁忙期に向けて準備することが大切です。
本記事では、美容室の繁忙期/閑散期の理由や売上を上げる方法、空いた時間でできることなどを解説します。
美容室の繁忙期と閑散期
美容室の繁忙期と閑散期の推移には、年間を通して次のような傾向があります。
年度の変わり目や大きなイベントがある時期は忙しくなります。
例えば3月は卒業式や入学式、新学期に向けて、12月はクリスマスや年末・お正月に向けてヘアスタイルを整える人が増えるからです。
湿気で髪が扱いにくくなる6月、夏に向けてのイメージチェンジや旅行前の準備をしたくなる7月も、来店する方が増えるでしょう。
1年で最も忙しい12月が終わると、年始を迎えて一旦忙しさが落ち着きます。
その後、成人式を迎えるお客様のご予約で再び忙しくなるものの、成人式後は閑散期に突入します。
1月から2月、4月、11月あたりの大きなイベントがない月やイベントが終わったあとの月は、比較的暇になりやすい時期です。
美容業界だけでなく、どのお店でも「ニッパチ(2月8月)は閑散期」と言われることが多いですが、夏休み前(7月)に美容室に行く人が多いため、8月も客足がやや落ち着く傾向にあります。
なお、閑散期といわれる月の中でも成人式前、入学式前、ゴールデンウィーク前の時期は例外的に忙しくなることが多いです。
平日と休日の違い
過去の調査によると、平日と休日の1日あたりの平均来店客数には次のような違いがあることが分かっています。
4人以下 | 5人以上 (不詳を含む) |
|
---|---|---|
平日 | 56.7% | 43.3% |
休日 | 28.5% | 71.5% |
美容室の立地や客層によっても異なりますが、休日よりも平日のほうがお客様の数が減る傾向にあります。
平日の中だと月曜日や木曜日は比較的ゆっくりしていて、サービス業の方の休日であることが多い水曜日や休日前の金曜日は混みやすいです。
休日は日曜日より土曜日のほうが忙しく、三連休だと初日が混む傾向にあります。
1ヶ月を通して見ると、月初は月末に比べてやや落ち着く美容室が多いようです。
時間帯や天候による違い
休日は1日を通して忙しいですが、平日は時間帯によって混雑具合に差が生まれます。
開店〜11時頃までの午前中、学校やお仕事帰りのお客様が来店する16時以降は混みやすいです。
一方で、12時〜15時前後のお昼の時間帯は比較的ゆっくりしています。
ほかにも、晴れている日に比べて雨の日は暇になりやすいです。
美容室が閑散期の売上を上げるためのポイント
美容室が閑散期になると、繁忙期に比べて売上が落ちてしまいます。なかには、半分以下の売上になってしまう美容室も。
閑散期でも売上や集客数を落とさないためには、閑散期に特化した対策を打ち出す必要があります。
ここからは、閑散期にできる売上アップ施策をご紹介します。
キャンペーン・割引
販促キャンペーンや割引など、あえて閑散期に行きたくなるような仕掛け作りを行いましょう。
「12月にカラー行こうと思ってたけど、お得になるなら11月中に行こうかな(リピーター)」「安くなってるから、お試しで行ってみようかな(新規顧客)」とお客様に思ってもらうことができ、来店を促せます。
- ◯月中の来店で試供品プレゼント
- 平日17時までの来店で◯%オフ
- 予約サイトのクーポンの割引率アップ
- 2人で来店すると◯%オフ(親子ペアカット割、友達割など)
- SNSへの投稿で◯%割引
また、新規顧客・リピーターの獲得=客数の増加施策と合わせて、お客様ひとりあたりの単価を上げる施策も有効です。
例えばいつも「カット+カラー」で来店されるお客様に対して、「似合わせカット+ケアカラー」や「カット+カラー+トリートメント」のようなワンランク上のメニューや他のメニューとの組み合わせを提案してみましょう。
セットメニューとして割引することでお得感を感じてもらうことができ、また次回以降の予約で同じメニューをリピートしてもらえる可能性も高まります。
上記のようなキャンペーン・割引施策では、DMやSNSで「期間」「割引率」「対象者」などを強調し、閑散期ならではのお得感を伝えることが大切です。
ただし、施策が多すぎてお客様を混乱させてしまわないように、メニューの見せ方に配慮しましょう。
限定メニュー・サービス
お得なキャンペーン・割引だけでなく、閑散期のシーズンに合ったメニューや商品をプッシュする方法も効果的です。例えば、
- 1月:サロン専売アイテムの福袋販売
- 2月:男性限定◯◯メニュー(バレンタイン)
- 11月:頭皮ケアメニュー(乾燥の時期)
このような普段は受け付けていない閑散期専用のメニュー・サービスを作ってみましょう。
また、閑散期はひとりひとりのお客様を丁寧に接客できる時期でもあります。
お客様とじっくり相談してヘアスタイルを決められるので、「イメージチェンジ企画」「スタイリング・ヘアケア指導」など繁忙期にできない提案を行うのもいいでしょう。
なお、キャンペーン・割引や限定メニューを提供する際は、事前告知を行うことが重要です。
2ヶ月ほど前には企画を考えて準備し、1ヶ月前・数日前・終了1週間前など数回にわたってメールやSNSで案内を出すと周知できます。
営業時間の変更
閑散期と繁忙期でターゲット層を切り替え、ターゲット層に合わせて営業時間を変更する方法もあります。
これは、月というより平日の施策としておすすめの方法です。
例えば、平日のターゲットは主婦・主夫の方や学生、シニア層が中心かと思いますが、ビジネス街に近い美容室ならビジネスパーソンを狙ってもよいでしょう。
この場合、早朝あるいは20時以降など他の美容室が営業していない時間帯にオープンすれば、出社前後に来店したいと考えている層を集客できます。
ターゲット層に合わせた営業時間を採用していると、そのコミュニティ(例;職場の同僚や同業者)内で広まりやすく、さらなる集客にも役立ちます。
新たな集客施策
業務に余裕のある閑散期は、新たな集客施策を試すチャンス。
これまでとは違う集客施策を試すことで、新たな層に認知を拡大できる可能性があります。
- ポータルサイトへの掲載
- ブログの作成
- Googleビジネスプロフィールの作成
- SNSの活用
- 広告の出稿
- クーポンサイトへの掲載
- チラシやDMの配布
- 紹介キャンペーンの実施
- 看板やPOPの設置
- メルマガやLINEの配信 など
例えば、これまではSNSを中心に集客していた美容室がDMや看板といったオフラインの施策を取り入れることで、インターネットを利用しないお客様にアプローチできるようになるでしょう。
上記のような集客施策では、ターゲット層に合わせることが大切です。
ファミリー層に向けた美容室なら「育児中でもできるヘアケア情報」「キッズメニューの割引」、学生向けなら「トレンドのヘアスタイル」「学校にしていけるヘアアレンジ方法」など、狙っている層が抱えている悩みや要望にアプローチすると◎
関連記事:美容室の集客テクニック12選!新規・リピーター別の施策まとめ
店販施策
閑散期に下がってしまう売上は、店販に注力することで補完できます。
店販施策には①割引②新商品の導入③高額商品の導入の3方向のアプローチが考えられます。
①割引
「◯◯ご購入でカラーメニュー◯%オフ」「◯月限定で店舗販売アイテムが◯%オフ」など、閑散期だけ安く購入できる割引を用意します。
期間限定の割引があると、普段買わない方でも購入してくれる可能性が高まります。
②新商品の導入
閑散期に新しい商品を導入することで、スタッフのモチベーションが上がり、お客様に提案しやすくなります。
「梅雨のうねり髪を抑えるオイル」「秋冬の頭皮ケアアイテム」など、シーズンに合うアイテムだとなお良いでしょう。
③高額商品の導入
高額商品はいつもより丁寧な提案や、実際に使用して効果を実感していただく工程が必要なので、スタッフの手が空く閑散期に最適です。
その商品を体験できる限定メニューを作っても良いかもしれません。
関連記事:美容師が店販を売るコツとは?店販のメリットやアプローチ方法、美容室の工夫まとめ
閑散期の空いた時間の活用アイデア
美容室の閑散期には売上を上げる施策を打ち出すと同時に、空いている時間を有効活用することをおすすめします。
サロンの清掃・整理整頓
時間に余裕がある閑散期には、忙しくてできていなかった清掃や大掃除に取り組む美容室が多いです。
床を履いたり、タオルやカットケープをたたみ直したりといった毎日の清掃に加え、
- 陳列している店販商品のホコリ除去
- 窓や鏡のクリーニング
- シャンプー台やお手洗いなど水回りの汚れの除去
- エアコンのクリーニングや修理
- カラー剤・薬剤を並べている棚の整理整頓
など、普段なかなか手の届かない場所までチェックしましょう。
美を提供する場所だからこそ、特にお客様の目につくところは整理整頓しておく必要があります。
サロン内をきれいに保っていると、お客様の満足度が高まるだけでなく、スタッフのモチベーションアップにもつながるでしょう。
また、バックヤードを含め「どこに何があるか?」「古くなったものや使わないものはないか?」と、きちんと整理整頓しておくことで作業効率もアップします。
クチコミの確認・対応
ホットペッパービューティーなどのポータルサイトやGoogle Mapに美容室の情報を載せている場合は、お客様から届くクチコミの確認もお忘れなく。
こまめにクチコミに返信することで「きちんと対応してくれそう」「サービスが丁寧そう」とお客様に認識してもらえるでしょう。
また、「サロン内が肌寒かったので膝掛けがあると嬉しい」のような改選すべき点を知れることもあり、今後のサロン運営に活かせます。
なかにはポジティブな意見だけで無く、ネガティブなクチコミが届くケースも。
お客様に不満を抱かせた事実について謝罪し、理由や改善策を返信することで、そのお客様はもちろんクチコミを見た他のお客様の印象も良くなります。
上記のサイトに加え、SNSの投稿へのコメントやユーザーの投稿に対しても、いいねやお礼コメントをしに行くと◎
美容室に親近感を持ってもらうことができ、クチコミ増加も期待できます。
スキルアップや情報収集
時間のかかるスキルアップは、閑散期にこそ取り組むべきです。
お客様とじっくり接する機会を増やし、技術や知識を増やすことで、繁忙期も落ち着いて対応できるようになります。
サロンワークを通じてのスキルアップに加え、トレンドチェックや情報収集に割ける時間も増えるところが閑散期の良いところです。
お客様との会話で出てきた内容を調べて、次回来店時のコミュニケーションにつなげる方もいます。
来店状況の分析・計画
美容室の来店・運営状況を分析する時間を設け、日々の運用を見直すことも大切です。
- 1回しか来店しなかった理由は?
- 人気のメニューとそうでないメニューは?
- リピーターに対して甘えが生じていないか?
- 予約は取りにくくないか?
- ネット予約のスケジュールは正常に反映されているか? など
リピートしてもらえる理由、あるいは失客してしまう理由は「美容師の技術」「接客」「サービスの充実度」「サロンの雰囲気」などさまざまですが、ひとつずつ分析をして対策を練りましょう。
閑散期にどれだけ計画できたかによって今後の売上が変わってきます。
思いつきでいろいろ実施するのでは無く、半年から1年にかけてプランを立てておくと◎
まとめ
どの美容室も悩んだことがあるであろう「閑散期」問題。
閑散期と繁忙期のサイクルには傾向があり予測できるため、事前に集客施策ややるべきことを計画できます。
また、来店数が少ない時期だからこそ、お客様にゆっくりとくつろいでもらうこともできるでしょう。
どうしても発生してしまう暇な時間を有意義に活用して、愛される美容室作りを行っていきたいところですね。
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