応募した企業・サロンで「なぜ働きたいのか」を伝える志望動機。
採用担当者が求職者の入社意欲の高さやをサロンへの理解度を見極めるために確認する項目です。
履歴書および面接で必ず聞かれるため、しっかりと答えられるようにしておきましょう。
本記事では、美容師の志望動機に書く内容や考え方のポイントなどを例文付きで解説します。
記事後半では良い例と悪い例を掲載していますので、参考にしてみてくださいね。
美容師の志望動機の内容と考えるポイント
美容師の志望動機では、仕事やその企業・サロンに対する熱意や思い入れを伝えることが大切です。
相手に伝わる志望動機を作るために、主に次の内容を記載します。
- 美容師という仕事を選んだ理由
- 目指す美容師像や目標
- その企業・サロンを選んだ理由
- サロンに貢献できること・活かせる経験や強み
以下それぞれ解説します。
美容師という仕事を選んだ理由
まずは「そもそもなぜ美容師という仕事を選んだのか?」を考え、美容師を志したきっかけを書きます。
抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードを交えながら説得力のある表現で採用担当者の心を掴みましょう。
<抽象的な表現の例>
- おしゃれが好きだから。
- 自分に合っていそうだと思ったから。
- 楽しそうだから。
<具体的な表現の例>
- 初めて美容院でヘアカットをしてもらったとき、普段と違う自分に変身できたみたいで感動した。その日から、将来はこんな風に人の心を動かせる美容師になりたいと思うようになったから。
- 学生時に長かった髪をカットしたら自分に自信が持てるようになり、積極的な性格になって友達が増えた。この経験のように、今度は自分が美容師としてお客様の本来の魅力を引き出したいから。
そのほか、「美容師になりたい」という夢を叶えるためにしてきた努力や国家試験を受けたときの意気込み、美容学生時代のエピソードなどを交えても◎
目指す美容師像や目標
どのような美容師を目指しているのか、なりたい姿や将来像も志望動機に盛り込みます。
ここでも抽象的ではなく具体的な回答が必要です。
<抽象的な表現の例>
- トップスタイリストになりたい。
- かっこいい美容師になりたい。
<具体的な表現の例>
- 国内外の美容やファッション関連のショーで活躍できる美容師になりたい。
- お客様にとって親しみやすく、なんでも相談できるような信頼できる美容師になりたい。
具体的な回答が思い浮かばない場合は、「おしゃれな美容師になりたい」→「おしゃれな美容師といえば○○さん(憧れの美容師)」→「○○さんといえば△△で活躍しているな」と連想していくと志望動機のヒントになりますよ。
また、志望するサロンで長く働く意思を伝えられるように、そのサロンで働く美容師として5年後・10年後にどうなっていたいか、どのように働いていきたいかなど、応募先ならではの目標を伝えられるとなお良いでしょう。
その企業・サロンを選んだ理由
全国に25万軒以上ある美容室の中からなぜそのサロンを選んだのかは志望動機において重要な部分です。
全国展開している大手チェーンのサロン、特定のエリア内だけで小規模展開しているサロン、個人サロン…など形態もさまざま。
「条件が良いサロンであればどこでもいい」「どこかに就職できればいい」と思っていると、熱意が伝わる志望動機は書けません。
各企業・サロンについて研究し、特徴や魅力、展開メニュー、経営方針や他のサロンとの違いを知って、自分の経験や想いと結びつける必要があります。
<熱意が伝わらない理由の例>
- 給料が高いから
- よく行くサロンだから
- 家から近いから
<熱意が伝わる理由の例>
- 「お客様は主役」というメッセージに共感した。私も主役をもっと輝かせるためにサポートできるような美容師になりたいと思い、応募した。
- 求人紹介やサロン見学で、地元のお客様や常連の方を大切にしている様子が伝わってきて、お客様と深く関わりながら働けそうなサロンだと思ったから。
- お客様と美容師がいつも楽しそうに話されていて、施術後もお客様がキラキラと嬉しそうに帰られる。サロン見学時にその様子を見て、このようなお店でお客様を大切にしながら、信頼できる美容師として活躍したいと思ったから。
企業理念やサロンのコンセプト、採用メッセージなどを自分の目標やなりたい美容師像と絡めて志望動機を作ると熱意を伝えることができるでしょう。
ただし「研修制度が充実しているから」という理由は要注意!
研修制度の充実度は志望理由になるかもしれませんが、サロン側の教育を期待した表現は受け身の姿勢や自発性のなさを感じさせる場合があります。
「自分でマネキンを購入して家でカットの練習をしている」「セミナーに参加して勉強している」など、主体的な姿勢が伝わるようにしてください。
また、事前にサロン見学に行き、その際に感じたお客様の様子や先輩美容師の働き方、サロンの雰囲気などを盛り込むのも◎
見学に行くことでその企業・サロンへの理解が深まるだけでなく、「うちへの志望度が高いんだな」「やる気があって一生懸命働いてくれそう」と採用担当者に感じてもらうことができます。
サロンに貢献できること・活かせる経験や強み
新卒ではじめての就職の場合は難しいかもしれませんが、自分の経験や強みの中でサロンに貢献できそうなことがあれば合わせて記載することをおすすめします。
<アピールになる経験や強みの例>
- 接客業に携わっていた経験→コミュニケーション能力がある
- スポーツをしていた経験→体力に自信があり長時間の立ち仕事も平気
- アシスタント歴○年→シャンプー・カラーなど一通りの作業がひとりでできる
- 専門学校で学んだ知識や技術→先生や友人からも褒められたヘッドスパが特に得意
- 学校以外に独学していた内容→自発的に学び続け、努力を惜しまない
過去の経験からサロンで活かせそうな強みを見つけ、具体的なエピソードを交えながらどのように貢献できるのかを伝えましょう。
お客様を満足させられるか、売り上げを伸ばせるか、店舗づくりに貢献できるかなどの観点からアピールポイントを見つけてみてください。
美容師の志望動機の例文3パターン
それでは実際に志望動機の例文を紹介します。
「未経験者の就職」「経験者の転職」「ブランク明けの再就職」の3パターンに分けて紹介するので、ご自身の状況に合わせて参考にしてくださいね。
新卒・異業種からの転職・未経験者の場合
新卒や異業種からの転職など、未経験でサロンへの就職活動を行う場合は、美容師になりたい理由や理想の美容師像をメインで書き、最終的にそのサロンで働きたい理由に言及するとよいでしょう。
キャリアがなく即戦力にならないというデメリットをカバーするには、意気込みや意欲的に学ぶ姿勢、前向きさや積極性などをアピールする必要があります。
【例文1】
私は幼少期からおしゃれに興味があり、中でもヘアアレンジが好きでした。
ヘアスタイルを変えると毎日違う自分になれる。自信が持てる。髪の長さやアレンジひとつで他人からの印象や自分の気分が変わる。
このように髪が与える影響の大きさを実感し、ヘアメイクの魅力に惹かれるようになりました。
高校卒業後は美容学校に進学し、美容師の仕事に関する幅広い技術を学びました。
学校で教わったことを活かしつつ、働きながらスキルの向上に努めることで、お客様を髪型ひとつで元気づけられるような、気分を上げられるような美容師になりたいと考えています。
子どもの頃からお世話になっていた貴社で、その第一歩を踏み出したいと思い、貴社を志望しました。
もし採用していただけたら、1日でもはやく一人前になって戦力になれるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【例文2】
私が貴社を志望した理由は2つあります。
1つは、ヘアスタイルだけでないトータルな美容をお客様に提供したいからです。
私はこれまで「髪だけでなくエステ、ネイルなどトータルでお客様の美容をサポートできるようになりたい」という想いから、美容師資格だけでなく、ネイリストやエステティシャンなど関連する資格の取得も積極的に行ってまいりました。
貴社は通常のヘアメイクだけでなく、出張ヘアメイクや着付けサービス、ネイルやエステなど幅広く提供されています。
貴社に入社できたら、学んだことや資格を活かし、美容師としてだけでなく、トータル美容を提供できるスタッフとして貢献していきたいです。
2つ目の理由は、貴社がお客様とのコミュニケーションを大切にされていると感じたからです。
貴社でサービスを受けた際、担当のスタイリストさんが私の髪の悩みを聞き、お手入れの仕方や似合う髪型などを親身になって教えてくださいました。
ホスピタリティの高さや心地よいサロン空間などの工夫を感じ、「私もこのサロンで自分の技術とやり取りでお客様を幸せにしたい」と思うようになりました。
入社後は技術の向上はもちろん、学生時代のアルバイトで培った笑顔や対話スキルを活かし、お客様に「また来たい」と思えるような接客やお店作りに貢献していきたいと考えています。
同業種での転職・経験者の場合
他のサロンで美容師として働いていた経験者の場合、過去の経歴や実績を伝えた後、現サロンと志望先の相違点や活かせる部分について言及します。
【例文1】
私は美容学校を卒業した平成○年○月から現在までの4年間、アシスタントを経て、スタイリストとして勤務してきました。
お客様からご指名をいただくことも増え、私はカットをメインで担当し、複数のスタッフで一人のお客様を対応することも多々ありました。
アシスタントの方にお客様に合わせた指示を出しつつ、ご満足いただける接客を心がけてきましたが、「一人のお客様をすべて自分で担当したい」という想いが強くなり、転職を志望するようになりました。
お客様一人一人への丁寧なカウンセリングを行い、担当のスタイリストがオーダーメイドのご提案を行う貴社のスタイルに共感したことが貴社を志望した理由です。
インスタグラムの運用を始めて1年でフォロワー2,000人を達成し、店舗でも1日平均8名の指名をいただいていたことから、集客力には自信があります。
前職で身につけた経験や接客技術、集客力を活かし、貴社でも精一杯頑張りたいと考えていますので、何卒よろしくお願いいたします。
【例文2】
地方の美容室でスタイリストとして3年の経験があり、特に「外国人風カラー」「グラデーションカラー」「ハイライト」などトレンドのカラーリングが得意です。
また、前職はカット・カラー・パーマに加え、ヘッドスパなどのリラクゼーションにも注力しているサロンだったため、お客様に癒しをお届けするリラクゼーションメニューでもハイレベルなサービスを提供できると自負しております。
より多くのお客様が集まる表参道エリアの中でも、特に知名度や技術力の高い貴社で、イチから自分の力を試してみたいと思い貴社を志望しました。
これまでの経験や技術を活かして、お客様の魅力を最大限に引き出し、ご満足いただけるような美容サービスを提供していきたいと考えております。
ブランク明け・再就職の場合
休職期間を経て再び美容師を目指す場合、ブランクが空いた理由やブランク期間で成長できたこと、再就職への熱意などを伝えます。
【例文】
以前は都内でスタイリストとして約2年働いていましたが、妊娠・出産を機に退職し、育児に専念しておりました。
子育てが落ち着いて仕事に復帰する余裕ができたことで、「美容師としてお客様をキレイにするという小さい頃からの夢を再び叶えたい」と考えるようになりました。
休職していた間に自分自身を見つめ直し、美容に携わることが生き甲斐であることに改めて気づけたのです。
育児の合間で最新スタイルや美容情報をチェックしたり、子供や夫のカットをしたり、ブランクを持つ美容師に向けた勉強会に参加したりしながら、知識と技術を維持・向上しております。
子供ができ、また祖父母を含む年配の方々と関わる機会が増えたことで、幅広い年齢のお客様がいらっしゃる地域密着型の美容室で働きたいと感じていたところ、貴社の採用募集を見つけ志望に至りました。
採用していただけましたら、前職での経験や技術、ブランク期間に習得したノウハウを活かし、どの年代のお客様にも満足していただける美容師として活躍したいと思っております。
NG!美容師の志望動機の悪い例
次のような内容はマイナスに捉えられてしまう可能性があるため、志望動機として書いたり、面接で話さないよう注意しましょう。
- 志望理由がぼやけてしまう曖昧な表現
例:アレンジのバリエーションが豊富です。(背景やエピソードなし) - 熱意が伝わりにくい主体性のない理由
例:国家資格で安定した職業だから美容師になりたいと思いました。 - どの応募先でも使い回している理由
例:雰囲気が良かったので貴社を志望しました。 - 美容師の仕事と関連性の低い内容
例:趣味は旅行です。学生時代はバスケ部に所属していました。 - 待遇面など自分へのメリット
例:給料が高く、研修が手厚いからです。 - 退職をほのめかす表現
例:将来は独立して世界的に活躍したいです。
- (転職の場合)前職のネガティブな内容
例:忙しすぎて転職を志しました。
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まとめ
志望動機は応募先の企業・サロンへのラブレターのようなもの。
「絶対にここで働きたい!」という思いを伝えるために、自分の強みや経験を交えて作成する必要があります。
「ほかの人ではなく、この人にぜひうちのサロンで働いてほしい」と思ってもらえるような志望動機を作成しましょう。
キレイビズでは、求人情報を掲載しているサロンのオーナー様や求人担当者様と日々コミュニケーションを取りながら、「サロン側がどのような人材を求めているか」「就職した先にはどのようなキャリアを歩んで行けるのか」といった情報を把握しています。
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