美容師の定年は何歳?「40代定年説」の由来や引退後の働き方についても解説

国家資格を取得する必要がある美容師という職業は、年齢や場所を問わず働ける「手に職のある仕事」のひとつです。
若くからスタートするほどキャリアは長くなりますが、「美容師の定年は40歳」というウワサもあり、何歳まで働けるのか不安に思っている方も少なくないでしょう。

一般的な会社員や公務員には、まだ働きたいと思っていたとしても仕事をやめなければならない「ある一定の年齢ライン(定年)」があります。
比較的自由なイメージのある美容師には、定年は存在しないのでしょうか?また、美容師を引退した後はどのような選択肢があるのでしょうか?

本記事では、美容師の定年や将来の働き方について解説します。
年を重ねてもイキイキと働きたい美容師や、自身のキャリアプランに悩んでいる美容師は、ぜひ最後までご覧ください。

 

美容師は何歳から何歳まで働ける?

美容師になるためには国家資格の取得が必須です。

美容師国家試験の受験には年齢制限がありません。
法律で定められた美容師養成施設で2年以上(通信課程の場合は3年以上)、所定の学習を行った者であれば受験できます。
社会人になってからもチャレンジでき、何歳からであっても美容師を志すことが可能です。

また、更新制度も存在しません。
一度取得すれば美容師法の違反などによって取り消し処分を受けない限りは、一生涯有効となります。

 

早ければ17歳で美容師になれる

「高校卒業→専門学校入学→20歳前後で国家試験(筆記・実技)に合格→専門学校卒業後に就職」が美容師になるまでの一般的な流れになります。
これは、美容専門学校の入学条件が「高等学校卒業以上」と定められているケースが多いからです。

しかし、中には義務教育である中学校を卒業したあと、できるだけ早く美容師になりたいと考える方もいるでしょう。
高校のカリキュラムと美容を同時に学べる高等専修学校に通う、中学校卒業以上でも可能な美容専門学校の通信過程で学ぶ、高卒認定資格を受けてから美容専門学校に入学するなどの方法があります。
中学卒業後、最短であれば17歳で美容師資格を取得可能です。

 

美容師に定年はない

国家資格の年齢制限や更新制度のない美容師には、定年がありません。
各美容室単位で定年制が導入されている場合はありますが、フリーランスや個人で開業している美容師であれば、「生涯現役」と何歳まででも働き続けられます。

資格とスキルさえあれば、自分自身で定年(引退のタイミング)を決めることが可能です。
年をとってもお客様からの人気が高く、引っ張りだことなっている美容師も存在します。

 

美容師の「40代定年説」とは

美容師は年齢に関係なく働ける職業ではありますが、「40代定年説」が存在します。
そもそも美容師の離職率は他業種・他業界よりも高い傾向にあるため、年齢を重ねるにつれて美容師を辞める人が増えていきます。

また、次のような理由から、40代で美容師を辞めたり、実務から離れて美容室の経営者や管理職に転向したりする人が多くなります。
・立ち仕事や長時間労働が体力的に難しくなる。
・年功序列の会社員と異なり、40歳あたりから給料が下がる。
・顧客の年齢層が若いサロンでは、若い美容師が指名されやすい。
・若い美容師の多いサロンで働き続けることが精神的にキツくなる。

厚生労働省が公表している美容業の調査結果によると、美容師(正社員)の年齢のうち40歳未満が占める割合は男性で約86%、女性で約80%となっています。
一方で50歳以上が占める割合は約8%となっており、必ずしも40代で引退しなければならないというわけではありません。
美容師の中には、70歳を過ぎても活躍している人もいらっしゃいます。

 

美容師が年を取ったらどう働く?

美容師には定年が存在しないとはいえ、体力の衰えを感じ始める40代前後で今後のキャリアを見直す方が多いです。
40代を過ぎた美容師がどのような働き方をしているのか知り、20代〜30代と同じように働き続けることが難しくなったときのキャリアの選択肢を増やしておきましょう。

 

地域密着型サロンで働く

都市部にあるような大手チェーンの美容室は、顧客層が若いぶん、働いている美容師も同年代(若い世代)が多い傾向にあります。
そのため、年齢を重ねると、落ち着いた住宅街や地方にある地域密着型のサロンへ転職する美容師が増えます。

地域密着型サロンはお客様やスタッフの年齢層が高く、話題が合わずに苦労することやジェネレーションギャップに気疲れすることがないため、働きやすいと感じるようです。
年配のお客様やお子様連れのお客様から、気軽な世間話ができる美容師として重宝されるでしょう。
忙しい都心のサロンよりもひとりひとりのお客様にじっくり対応できるので信頼を獲得しやすく、長く通ってもらえるほか、同じ地域に住んでいる知人・友人や家族を紹介してもらえるケースもあります。

 

管理職・マネージャーを目指す

年齢とともに、現場仕事から経営側の仕事へシフトしていく美容師も多いです。

・接客業務や施術に入る時間の割合を減らし、指導担当や店長として店舗全体を管理する
・実務から離れ、マネージャーとして支店・本店の経営に携わる
といった働き方になり、美容師経験で得たノウハウを組織の運営に活かすことができます。

管理職にはマネジメント能力やリーダーシップ、経営の知識といったサロンワーク以外のスキルも求められます。
スタッフの育成、販売計画や集客戦略の立案、商品の仕入れ・管理、店舗インテリアの管理などやるべきことは多岐に渡りますが、その分収入面では有利になります。

勤務先の美容室で出世を目指すか、管理職の求人を出している他のサロンへ転職する方法があります。

 

開業してオーナーになる

スタイリストとしての実績を積み、リピーターや指名客が増えてきたタイミングで、独立して自分のサロンを開業する働き方もアリです。

自分自身がオーナーになれば、サロンのコンセプトや提供メニュー、勤務時間や接客人数などをすべて自由に決めることができます。
高収入を目指す方もいれば、「1日◯名限定」「週に3日だけ営業」などワークライフバランスのとれた働き方に切り替える方もいます。

開業してからしばらくは美容師として接客・施術を担当し、年を重ねてからは経営にまわり従業員を雇うという選択肢もあるでしょう。
この場合、店長やマネージャなどの管理職経験が役に立ちます。

オーナーとして開業する場合、スタイリストとしての技術だけでなく、収支の管理や顧客の開拓など運営業務をすべて自分で行うスキルが必要です。
また、開業資金として1,000万円〜2,000万円程度を準備しなければなりません。
難易度は高いですが、大成すれば大きく収入を伸ばせる可能性があります。

なお、企業のフランチャイズ店舗として開業すれば、自由度は下がりますが、サポートを受けながらコストを抑えて運営できます。

 

フリーランス美容師として働く

独立しても自分のサロンを持たずに、美容室と業務委託契約を結んだり、面貸し・シェアサロンで働く選択肢もあります。
スケジュールや体調に合わせて自由度高く働ける点がフリーランス美容師の魅力です。
設備や備品を用意する負担や開業のリスクを負わず、頑張れば頑張るほど収入アップを目指せます。

業務委託だとサロンに来店したお客様に対応し、一般的に歩合制で報酬を受け取ります。
シェアサロン・面貸しの場合は自分で集客をしなければなりませんが、利用料を払えば、残りの売上は自分のものになるケースが多いです。

どちらの形態であっても、契約で禁止されていなければ同時に複数のサロンで働くことが可能なので、リスクを分散できます。

 

福祉美容師・訪問美容師として働く

高齢化社会の日本で近年需要が高まりつつあるのが、福祉美容師です。
美容師免許があれば、特別な資格がなくても働けます。

福祉美容師は高齢者や身体の不自由な方の自宅、介護福祉施設などに出張訪問し、サロンに足を運べない方に施術を提供します。
顧客が年配であるケースが多く、きめ細やかな配慮と施術スキルが求められるため、若手の美容師よりも40代以降の美容師が重宝されます。
カットやシャンプーなどの基礎的なサービスの提供がほとんどなので、高収入は目指し難いですが、コストを抑えられて社会貢献にもつながる仕事です。

福祉美容師になりたいなら、福祉美容・訪問美容を行っているサロンに所属するか、フリーランス美容師として活動する選択肢があります。
個人で働く場合、自治体によって届出や研修の要否が異なるため、事前に確認しましょう。

 

美容師引退後の働き方は?

美容師は何歳になっても働ける職業ではありますが、
・他の仕事に比べて体力が必要
・視力が落ちると手元が見えなくなる
・感覚が若い世代に追いつかなくなる
などの理由から、年を重ねるにつれて若手時代と同じ働き方が難しくなるのは事実です。

最後に、美容師を引退した後のキャリアの選択肢について解説します。

 

美容業界で働く場合

美容師を引退しても美容業界で働き続けることは可能です。

美容師免許を活かすなら、次のような職業があります。
・アイリスト:まつ毛パーマやまつ毛エクステを行う
・ヘアメイクアップアーティスト・雑誌やファッションショー、結婚式場、フォトスタジオなどで働く
・着付け師:結婚式場やフォトスタジオで働く、自宅へ出張する

美容師として培ってきた美容のノウハウやスキルを活かすなら、ネイリストやエステティシャン、美容コンサルタントや美容メーカー勤務といった働き方もあるでしょう。
美容師として働きながら、このようなキャリアにも繋げられるように、資格を取ったりスクールに通ったりと準備を進めている方もいます。

 

美容に関わらないまったくの異業種へ転職する美容師もいます。

美容師経験で培った接客スキルやコミュニケーション能力、トレンドキャッチ力は他の職業にも活かせます。
親和性の高いサービス業や飲食業、小売業などが特におすすめです。

体力的な観点から、企画職や事務職などの仕事を選択するのもありでしょう。

 

まとめ

美容師はお客様の魅力を引き出す魅力的な仕事のひとつ。
「定年は40代」と言われることもあるものの、体力と技術があれば生涯働き続けられる職業です。
早くて10代で美容師デビューを果たし、50代、60代……と年を重ねても活躍している美容師は少なくありません。

ずっと美容師として働き続けるのか、ある程度の年齢になったら別のキャリアを歩むのか、さまざまな選択肢を知ったうえでじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

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