「美容師として長く働いたら、辞めた時にどれくらいのお金がもらえるんだろう?」
そんな不安を感じたことはありませんか?
一般企業だと退職金制度が整備されている会社が多いですが、美容業界は必ずしもそうではありません。
「何年働けばもらえるの?」「どのくらいの金額が相場なの?」といった疑問の声も少なくないでしょう。
特に、美容師は転職や独立を経験する人も多く、退職金の有無や金額は将来設計に直結します。
知らないまま働き続けると、いざ退職する際に「思っていたより少ない」「制度自体がなかった」というケースも。
そこで本記事では、美容師の退職金制度の現状、相場や条件、そして制度がない場合の備え方まで分かりやすく徹底解説します。
美容師は退職金をもらえる?

結論から言うと、美容師全員が退職金をもらえるわけではありません。
法律では、「企業は従業員に退職金を必ず払わなければならない」と明確に定められてはいないため、退職金が出るかどうかはそれぞれの美容室のルール(就業規則)次第です。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、美容師が含まれる「生活関連サービス業、娯楽業」では、約67.2%の企業が退職金制度を導入しています。
ですが、これはあくまで業界全体の平均。
退職金の有無は勤務先の規模や経営方針によって大きく異なり、個別の美容室では退職金制度がないところも少なくありません。
大手サロンや企業運営サロンは、退職金制度が整っていることが多く、金額は勤続年数や役職に応じて決まります。
一方、中小規模・個人経営サロンだと退職金制度がなく、代わりに賞与や歩合で還元している場合もあります。
求人情報に退職金の記載がなくても就業規則に明記されていたり、逆に面接で「退職金あり」と言われていても、金額や条件を確認しないと実際は少額だった…というケースもあります。
退職金制度がないサロンが多いのはなぜ?
美容室業界で退職金制度を導入しているサロンが少ない理由としては、主に以下の要素が挙げられます。
- 小規模経営が多い
多くの美容室は個人経営や小規模なため、退職金制度の導入が経営上の大きな負担となることがあります。 - 離職率が高い
美容師業界は離職率(人材の流動性)が比較的高く、特に若い世代の入れ替わりが激しいため、制度を導入しても恩恵を受ける従業員が少ないという実情があります。
制度があっても、受給条件が「10年以上勤務」など長期に設定されていることも珍しくありません。 - 成果主義・歩合制が浸透しているため
日々の給料やインセンティブが重視される傾向にあるため、退職金制度の優先順位が低めなようです。
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美容師が退職金制度を確認する方法
退職金については、入社前に必ず確認しましょう。
自分が働いている美容室に退職金制度があるかどうかを確認する一番確実な方法は、就業規則を見ることです。
就業規則には、働く時間や給料、そして退職に関する規定など、従業員が働く上で守るべきルールが書かれています。
ただし、「退職金あり」とだけ記載されていても、実際は「10年以上勤務で5万円」という場合もあります。
金額や計算方法まで確認することが大切です。
【就業規則を確認するときのポイント】
- 退職金制度はあるか?
まずは、退職金制度について書かれているかを確認しましょう。 - 支給される条件は?
勤続年数や、辞める理由によって退職金が出るか出ないか、金額が変わる場合があります。 - 計算の仕方
勤続年数、基本給、役職などに基づいて、どうやって計算されるかが書かれています。 - 支払われる時期
辞めた後、いつ頃もらえるのかも要確認です。
他にも、面接時に「退職金制度はありますか?」「条件は何年ですか?」と具体的に質問したり、就職時に労働契約書の記載を確認したりしておきましょう。
退職金制度のある美容室の特徴
退職金制度が整っているサロンは、共通して以下のような特徴があります。
- 企業規模が大きい
全国展開している大手サロンや、複数店舗を運営する法人は福利厚生が整っていることが多く、退職金制度も導入されています。 - 中退共(中小企業退職金共済)に加入している
中退共は国が運営する退職金共済制度で、月5,000〜30,000円の掛金を事業者が負担し、積み立てます。
小規模サロンでも導入可能で、従業員にとっては安心材料になります。 - 人材の定着率を重視している
長期勤務を促すために、勤続年数が長くなるほど支給額が増える制度を設けている場合があります。
例:5年未満→支給なし、5年以上→支給開始、10年以上→大幅増額 など。 - 経営者の労働環境改善意識が高い
経営者がスタッフの将来や生活の安定を重視しているサロンは、退職金や福利厚生面に投資している傾向があります。
美容師が退職金をもらうための条件
退職金制度があっても、次のような条件を満たさないと受給できない場合があります。
- 勤続年数の条件
例:3年以上、5年以上、10年以上勤務など。
美容師は転職や独立が多いため、この条件で受給できない人も多いです。
- 退職理由
定年退職や会社都合退職は満額支給されやすいですが、自己都合退職や懲戒解雇では減額や不支給になる場合があります。 - 勤務態度や評価
規定上は支給条件に含まれない場合でも、勤務態度や売上貢献度が評価に影響することがあります。
美容師の退職金に関する注意点
一般的に、退職金の支給額は勤続年数が短いほど少なくなるため、途中退職をすると減額される場合が多いです。
また、景気やサロンの経営状況によって、退職金制度が変更・廃止される可能性もあるため、定期的な確認が必要です。
もらえる退職金には税金がかかります。
ただし優遇がある(退職所得控除が適用される)ため、長期勤続するほど税負担は軽くなります。
美容師の退職金の相場

美容師がもらえる退職金の相場は、一般企業と比較すると低めの傾向にあります。
「勤続年数 × 最終基本給 × 支給率」で計算されることが多いです。
例:基本給20万円 × 勤続15年 × 支給率0.5ヶ月分 = 150万円 など
ただし、歩合給やインセンティブは計算に含まれないことが多いため、給与が高くても退職金額が少ないケースもあります。
ここではサロンの規模と勤続年数に分けて一般的な目安をご紹介します。
サロンの規模や地域、勤続年数などによって大きく差があるので、あくまで参考程度にご覧ください。
サロンの規模による退職金額の違い
大手チェーンサロンは退職金制度が整備されていることが多く、10年ほど働くと少なくとも50〜150万円程度もらえるなど比較的高めです。
中小企業退職金共済制度(中退共)や企業型確定拠出年金を導入しているところもあります。
中規模サロンは制度があるところとないところが混在しています。
あっても50万円以下など金額は控えめなことが多いです。
個人経営サロンは退職金制度がないケースが多め。
あっても、オーナーの裁量による寸志程度のことが多いです。
勤続年数による退職金額の違い
- 勤続3年:10万円〜30万円程度
多くのサロンでは、3年未満だと退職金が出ないケースが多いです。
出る場合でも、比較的少額になることが一般的です。
- 勤続5年:30万円〜80万円程度
5年以上働くと、ある程度まとまった金額の退職金が期待できるようになります。
- 勤続10年:80万円〜200万円程度
10年勤続すると、退職金もそれなりの金額になってきます。
ただし、サロンの規模や制度によって大きく差が出ます。
- 勤続20年:200万円〜500万円程度
長期勤続者への退職金は、サロンによって大きく異なります。
大手チェーンの方が高額になる傾向があります。
退職金を増やすための美容師のキャリア戦略

美容師として退職金をしっかり受け取りたい場合、次のようなポイントを押さえてキャリアプランを描いてみてください。
長期勤務が可能なサロンを選ぶ
退職金は勤続年数に比例するため、転職を繰り返すよりも長く勤務できる環境を選ぶほうが有利です。
働きやすさや人間関係、休日制度なども確認しておくと、長期勤務しやすくなります。
役職に就く
店長やマネージャーなどの役職者は基本給が高くなり、退職金の計算基準額も上がることがあります。
また、役職手当や役職者限定の退職金加算制度がある場合も。
福利厚生の整った大手や安定企業に転職する
制度そのものが存在しないサロンに長く勤めても、退職金はゼロです。
将来を見据え、制度のあるサロンに移るのも選択肢になるでしょう。
自分で老後資金を準備する
退職金をあてにしすぎず、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなど、自分で資産形成を行うことも重要です。
美容室に退職金がない場合の賢い準備方法

退職金制度がないサロンで働いている美容師さんも多いと思います。
ですが、がっかりする必要はありません。
自分自身でも将来に備える方法はたくさんあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCoとは、自分で毎月一定額を積み立てて、60歳以降に受け取れる年金制度です。
iDeCoの掛金は全額所得控除になるので、税金が安くなります。
かつ、運用益が非課税になり、受け取るときも税制優遇があります。
月額5,000円から始めることができ、雇用されている美容師の場合は月額23,000円まで積み立て可能です。
例えば、月額1万円を30年間積み立てると、元本だけで360万円。
運用がうまくいけば、さらに増える可能性があります。
つみたてNISAで資産形成する
つみたてNISAは、年間40万円まで投資信託を積み立てることができ、運用益が最長20年間非課税になる制度です。
運用益が非課税なだけでなく、iDeCoと違っていつでも引き出せます。
月額100円から比較的気軽に始められて、金融庁が選定した投資信託から選べるので安心です。
小規模企業共済へ加入する
将来独立を考えている美容師さんには、小規模企業共済がおすすめです。
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度。
廃業時や退職時に共済金を受け取ることができます。
掛金は月額1,000円から70,000円まで自由に設定でき、全額所得控除されます。
低金利で貸付制度も利用可能です。
定期預金や財形貯蓄を利用する
資産運用によるリスクを取りたくない方には、確実に貯まる方法もあります。
定期預金なら、金利は低いですが、元本保証で安心です。
ボーナス時期に定期預金を組むなど、計画的に貯蓄しましょう。
また、勤務先に財形貯蓄制度があれば、給料から天引きで自動的に貯蓄できます。
転職時に退職金制度をチェックするポイント

転職を考えている美容師さんは、新しい職場の退職金制度もしっかりチェックしましょう。
面接で確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 退職金制度の有無:就業規則に退職金規程があるか?
- 支給条件:勤続何年から支給されるか?など
- 計算方法:どのような基準で計算されるか?
- 支給時期:退職後いつ頃支払われるか?
- その他の福利厚生:社会保険、有給休暇、研修制度などはあるか?
また、求人情報を見るときは、以下の点に注目しましょう:
- 「退職金制度あり」と明記されているか
- 「中退共加入」「企業年金制度」などの記載があるか
- 福利厚生の欄に退職金に関する記載があるか
まとめ
美容師さんの退職金事情は、一般的な会社員とは大きく異なります。
制度がないサロンも多いのが現実ですが、制度が整っているサロンを選び、長期勤務や役職昇進を目指せば、将来の資金としてしっかり確保することができるでしょう。
また、自分自身で将来に備えることも大切です。
美容師という素晴らしい職業で長く活躍し、安心して将来を迎えるために、今から少しずつでも準備を始めてみませんか?
小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。
働き方や職場選びの段階から、退職金のことも考慮してキャリアを設計していきましょう。
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