美容学生として勉強して国家資格である美容師免許を取得し、サロンに就職してアシスタントとして経験を積み、スタイリストデビュー。
美容師として働いてスキルを高めていくためには、どの段階においても勉強し続けることが大切です。
ひと言で「勉強」といっても学生時代のようにテキストや専門書を読んだり、問題を解いたりというだけの意味ではありません。
講習会やサロンでのレッスンなどオフラインでの勉強法に加え、現代ではSNSやブログ、オンラインサロンなどインターネットを活用した幅広い勉強が可能になりました。
本記事では「ほかの美容師と違う強みがほしい」「スキルアップしたい」と考えている方に向けて、勉強のメリットやおすすめの勉強方法を紹介します。
そもそも美容師になるには?
美容師として働くなら「美容師免許」が必須です。
美容師免許なしでカットやカラーなどの施術を行った場合、30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
美容師免許を取得するためには、厚生労働省の認可を受けた「美容師養成施設(専門学校など)」で一定期間学び、国家試験に合格しなければなりません。
美容師の国家試験は筆記試験と実技試験に分かれており、両方での合格が必要です。
合格率は約60〜90%と実施年によって異なります。
美容師学校や専門学校の授業を受けてしっかり学んでいれば、ハードルはそこまで高くないと言えるでしょう。
関連記事:美容師に必須の国家資格とは?資格取得の方法から進路までまとめました!
関連記事:美容師・理容師の国家試験について|過去問から試験内容までまとめ
筆記試験に向けて必要な勉強
筆記試験では美容師が持っておくべき知識が問われます。
次の課目の中から55問出題され、すべて4択問題のマークシート方式です。
- 関係法令・制度
- 公衆衛生・環境衛生
- 感染症
- 衛生管理技術
- 人体の構造および機能
- 皮膚科学
- 美容の物理・化学
- 美容理論
過去の筆記試験の問題は公式サイトで公開されています。
60%以上の正答率で、かついずれの課目においても無得点でないことが合格の条件です。
実技試験に向けて必要な勉強
筆記試験では美容師が習得しておくべきスキルが問われます。
第1課題はカッティング、第2課題ではオールウェーブセッティングの技術の審査です。
モデルウィッグを使用し、準備からウィッグの画面拭き取りまでを制限時間内に行います。
上記の2つの課題とは別に、衛生面・安全面への配慮もチェックされます。
服装や身だしなみ、用具などが規定通りであるか、清潔に保たれているかなど、技術以外のポイントで減点されないようにしっかりと準備しておきましょう。
審査基準や減点理由については公式サイトで公開されています。
美容師になってからも勉強すべき理由
美容師養成施設で2年(通信課程の場合は3年)以上学び、国家試験に合格すれば晴れて美容師になれます。
しかし、美容師デビューはゴールではなくスタート。
美容学生からアシスタント、アシスタントからスタイリストになったあとも、美容師として活躍し続けるために新たな知識・技術やトレンドを学び続ける必要があります。
プロになったあとも学び続けるべき理由・メリットは以下のとおりです。
ビジネススキルを高めるため
学校で学んだ美容師としての基礎となる知識・技術に加え、社会人として働くうえでのビジネススキルも身につけなければなりません。
- 身だしなみや所作、報告・連絡・相談など基本的なビジネスマナー
- お客様との会話やカウンセリングといった接客スキル
- SNSの運用や宣伝、店販売上アップなどにつながる集客・マーケティングスキル
- ほかの美容師との連携や人材育成に役立つコミュニケーションスキル
などサロンワークでは幅広いスキルが求められます。
これらのスキルは働きながら、自分で勉強しながら高めていくものです。
また、店長クラスへの昇進や独立・開業を目指すなら、経営や税金、人材育成や店舗運営にまつわる勉強も必要です。
お客様のニーズに応えるため
理想のヘアスタイルを実現したり、髪のお悩みを解決したりするなら、学校で学んだ以上の勉強が欠かせません。
自分が持っている知識・技術の幅を広げれば広げるほど、お客様のニーズを満たせるようになります。
ほかの美容師やサロンが持っていない新しい知識や技術を取り入れ、美容師としてアップデートし続けることで、差別化が可能になります。
新たな顧客の獲得やリピート率の向上にもつながります。
「現状維持=衰退」という言葉のとおり、すでに習ったことだけに頼って現状維持を続けているうちに、勉強し続けているライバルとの差は確実に広がってしまいます。
また、昨日までの常識が明日は通用しなくなることも。
今ある知識や技術にあぐらをかかず、美容師として前に進み続けましょう。
トレンドを取り入れるため
美容業界は特にトレンドの移り変わりが早いです。
例えば、2010年台はゆるふわパーマやぱっつん前髪が流行っていましたが、2020年代になるとくびれヘアやシースルーバングがトレンドになりましたよね。
新しい手法が次々と登場し、「かわいい」「かっこいい」の基準も移り変わっていくものです。
流行りのヘアスタイルや美容法がどんどん変わるなかで、トレンドに対応できなければ顧客の獲得が難しくなっていきます。
モデルやインフルエンサーのInstagramをチェックする、ファッション・美容雑誌を読む、キュレーションサイトを見るなど、海外の情報にも注目するなど、常にアンテナを張ることが大切です。
トレンドに敏感なお客様からの指名につなげられるほか、SNSでの発信が伸びやすくなったり会話の話題になったりとさまざまなメリットがあります。
美容師になってからの勉強法
美容師が勉強する方法は主に以下の7つです。
- セミナー・講習会に参加する
- 本や雑誌を読む
- アプリやSNSで情報収集する
- ブログや記事コンテンツを読む
- オンラインサロンに入会する
- サロンでレッスンする
- お客さんとして他店舗を見学する
働きながら勉強し続けるのは大変ですが、オフラインとオンラインを組み合わせて、さまざまなツールを活用することで勉強効率を上げられます。
スキマ時間やサロンの営業時間の前後、休日など時間を見つけて取り組んでみてください。
1.セミナー・講習会
美容師が受けるセミナーや講習会には、次のような種類があります。
- 技術系:カット、カラー、パーマなどの技術や最新情報を学べる
- 商材系:薬剤やマシンの展示、または使い方や売り方、導入事例を知れる
- 独立したい人向け:開業やフランチャイズ出店に関する説明会やサポート
- 経営者向け:経営や集客、会計や売上アップなどに関する知識が身に付く
- トータルビューティー系:着付け、ネイル、マッサージ、アイラッシュなどの技術が身に付く
人気の美容師が講師を務める有料の実技指導から、美容関連企業やディーラーが宣伝を兼ねて無料で開催する情報セミナーまで、内容はさまざま。
サロンの定休日である月曜日または火曜日、あるいは営業後の夜に開催されるケースが多いです。
セミナー・講習会のメリットは、知らない技術や苦手分野も含め、スキルを集中的に高められるところ。
他サロンの美容師も多数参加しているため、刺激を受けられるでしょう。
自分が学びたい内容に合うセミナーや講習会を探して参加してみてはいかがでしょうか。
2.本や雑誌
カリスマ美容師やインフルエンサー美容師、サロンの経営者たちが書いた本には、美容師として働くなかで生まれる悩みや疑問を解決するノウハウが詰まっています。
本を通して成功者の考え方や行動を学ぶことで、効率よくスキルアップできるでしょう。
1冊あたり1,000円前後で1つの知識を深く、体系的に学べるので、コスパのいい勉強法です。
また、読書をすることで集中力が身につき、お客様とのコミュニケーションで役立つ教養や語彙力を得られるというメリットも。
移動中や休憩中といったスキマ時間にも読めるので、毎日少しずつ学びを積み重ねられます。
「ノウハウ本や技術本の文字を読むのが苦手」という方は、まずはヘアスタイルが掲載された写真集や美容専門誌・業界誌から読んでみることをおすすめします。
3.アプリやSNS
最も手軽に取り組めるのが、アプリやSNSを使った勉強法です。
スマホやタブレットからいつでもどこでも勉強できます。
- 「YouTube」や「TikTok」で美容師向けの動画を見る
- 「Instagram」や「HAIR」で人気のスタイルをチェックする
- 「Pintarest」でアイデアを探す
この勉強法は知識や技術を深く学ぶというよりも、鮮度の高い最新の情報をキャッチしたり、技術のコツやトレンドを素早く知りたいときに適しています。
ヘアデザインやスタイリングのイメージを膨らませたいときにも◎
4.ブログや記事コンテンツ
美容師向けのWebメディアに掲載されている記事や、美容業界で活躍している人が書いたブログも勉強になるでしょう。
本と違って無料で読めるものも多く、スマホがあればいつでも最新記事をチェックできます。
例えば、美容師向けのWebメディアには次のようなサイトがあります。
- meme mag(ミームマグ):美容専門出版社の「女性モード社」が運営。美容業界のニュースや美容師へのインタビューが掲載されている。
- ボブログ:美容専門出版社の「髪書房」が運営。業界のニュースや新商品情報からノウハウ系記事、エンタメ系記事まで幅広い情報を発信。
- Beautopia(ビュートピア):美容業界のニュースを中心に、サロンの経営やマネジメント、人材育成など経営者向けの内容が多い。
- キレイビズメディア:美容業界最大級の求人サイト「キレイビズ」が運営。日々の業務や就職・転職に役立つノウハウ記事やサロン・美容師のインタビュー記事が掲載されている。
個人が発信している記事コンテンツだと、最近ではブログだけでなく、「note(ノート)」で発信する美容師さんも増えています。
なかには有料の記事もありますが、無料のサイトには載っていないプロのリアルな技術や施術レシピ、アイデアなど実践に役立つ有益な内容を読むことができますよ。
5.オンラインサロン
オンラインサロンとは会費を払って入会できる、会員制のクローズドなコミュニティです。
会員限定のセミナーや動画、記事などが共有されるので、より深い学びを得られます。
インターネット上での活動がメインなので、好きな時間に勉強したり、何度も見返したり、実際に足を運べないサロンの講習会に参加したりと、対面では難しいことも可能になります。
また、業界の情報やトレンドを共有し合い、切磋琢磨できる美容師仲間ができるところも魅力。
さまざまな繋がりが生まれるので、モチベーションを高めながら勉強したい方におすすめの方法です。
6.サロンでのレッスン
技術職である美容師には、日々のレッスンが欠かせません。
お客様に満足してもらえるスキルを持ち続け、テクニックをさらに磨くために、マネキンヘッドやカットモデルを使って練習します。
各サロンの教育体制や取り組み方はさまざまで、先輩スタイリストや上司からレッスンを受けられる美容室もあります。
しかし、近年の働き方改革に伴い営業時間の前後に行われていたレッスンが見直され、レッスン時間を縮小したり、営業時間中にレッスンを行ったりするサロンが増えています。
就職・転職の際は、レッスン制度の有無や曜日・頻度などを事前に確認しておきましょう。
7.他店舗の見学
自分が働いているサロンでカットやカラーをお願いしている美容師さんは少なくありません。
ですが時には、お客さんとして他のサロンへ行き、自分のサロンとの違いや施術・接客の様子などを見てみるのも勉強になります。
他のサロンに行くことで、サロンを探して予約する感覚や入店するときの気持ち、サービスを受けるときや美容師と会話するときの感覚など、リアルなお客様目線を持つことができます。
美容師にされて嬉しいことも嫌なことも実感できるので、普段のサロンワークを見直すきっかけになるでしょう。
まとめ
美容師の仕事において、技術は日々進化し、トレンドは変わり続けます。
環境の変化に対応するためには、忙しいなかでも技術を磨いたり、新たな知識やトレンドを知ったりといった”勉強”を続ける必要があります。
今回ご紹介した方法で努力し続ければ顧客満足度を高めることができ、集客や指名など自分のメリットにもつながります。
自分に合う勉強方法や学習環境を見つけ、美容師として成長していきましょう。
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